雨の日は着物でのお出かけをためらいがちですが、先日、リユースの着物と帯で外出しました。
取り合わせやその時の襦袢の工夫などをご紹介します。
1.リユースの付下げ
①リユース着物とは
私は母や親戚から譲られた着物を多く所有していますが、ここでは人から譲られたものではなく、販売されている中古の着物をリユース着物ということにします。
近年「リサイクル着物」のほうが一般的に使われているようですが、リサイクル(Recycle)は再生利用のことで、再使用はリユース(Reuse)。着物はお直しをしても生地を活かしたまま着るので「リユース」のほうが合っていると思います。
現代のSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、リユース着物を購入して楽しむことは意義あることです。
②低価格の付下げ
今回着用した着物は以前当ブログでご紹介したことのある付下げです。
3年前に新宿京王百貨店内の「ながもち屋」で5,500円(税込)で購入しました。
(かなりの低価格なのはシミがあったからです)
詳しい内容はこちらから
↓
私には身丈が少し長めでしたが、色と柄が気に入り、娘とも共有できると思い購入しました。
(今のところ私ばかり数回着用しています)
↑ ながもち屋ウェブサイト
現在は価格設定も変わっていると思いますので、興味のある方は最寄りのお店に直接足を運んでみてください。
リユース着物はサイズや質感、状態などをよく確かめてから購入することをおすすめします。
③5月末でも肌寒い日
最近は5月になると暑い日が続き、5月のカジュアル着物は単衣! と決めていた私ですが、今年(2025年)の5月末には3月並みに肌寒い雨の日がありました。
前もって単衣の着物を準備していた私ですが、前日の予報を見て急遽袷に変更。そのときに思いついたのがこの付下げでした。
リユースだからといって濡らしたり汚したりしても良いわけではありませんが、少し気楽に着られるかと思ったからです。
袷の着物に雨ゴートを着ても肌寒さを感じるような日でしたが、それゆえ5月に「袷の付下げ+袋帯」という本来の取り合わせができたラッキーな日でした。
今回は同じ「ながもち屋」で購入した袋帯を合わせました……
2.櫛織りの袋帯を合わせて
①櫛(くし)織りとは
櫛織は機織(はたお)りの際、櫛を使って織られたもので、緯糸(よこいと)が波打っているようになり透け感が出ます。
軽くしなやかで涼感があるので、初夏や初秋の帯として重宝します。
生成りの地に波のような柄が抽象的に施された袋帯です。
涼感はありますが、これは裏地付きの袋帯なので、盛夏には向きません。
②購入理由
この帯は着物を購入する1年前に「ながもち屋」で入手しました。税込16,500円でした。
ほぼ新品で汚れもなく、何にでも合わせやすい無難な色と柄が気に入ったことが購入の動機です。
特定の着物に合わせるというより、「持っていれば便利かも?」という気持ちだったように思います。
そして軽くしなやかな手触りも購入理由の一つでした。
③取り合わせ
ピンクから小豆色へのぼかしの裾模様が特徴的な着物です。
白っぽい帯を合わせたので、雨の日でも明るい雰囲気になりました。
能の発表会のおよばれなので、洒落袋帯でほんの少しあらたまった感じにしました。
体に馴染む締め心地で、袋帯の重さを感じませんでした。
帯周りは統一感のある色でまとめました。
三分紐とパールの帯留めには、<お祝い><華やかに><涼しげに>の気持ちを込めました。
3.雨の日の襦袢の工夫
この日は一つだけ工夫をしました。それは二部式襦袢にしたことです。
①柔らかものの着物の襦袢
付け下げや訪問着などの柔らかものを着るとき、私は一部式(ワンピースタイプ)の絹の長襦袢を着用することが多いです。
なぜなら、二部式だと半襦袢と裾除けの重なり部分に厚みが出て、柔らかい生地の着物の場合、表に重なりが見えてしまうことがあるからです。
カジュアルな紬や木綿などは生地の厚さもあり、あまり気になりません。
けれども当日は大雨が予想されていましたので、急遽二部式に変更しました……
②うそつき半襦袢の袖は絹、裾はポリエステル
襦袢を二部式にした理由は……
雨ゴートを着るとき着物の裾をたくし上げるので、ポリエステルの裾除けのほうが濡れたり汚れたりしても洗濯できるからです。
そしてこの日は袖を付け替えられるタイプの「うそつき半襦袢」*を着用しました。
*「うそつき」とは、肌襦袢に衿や袖を付けて長襦袢を着ているかのように見せることで名付けられたようで、子供の頃から「うそつき襦袢」にはずいぶんお世話になっています。
このようにマジックテープで取り外し可能。色や柄を着物に合わせて替えられるのが特徴です。
少しなら裄丈や袖丈が調節できます。
同じものではありませんが、似たようなものはこちら
↓
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同じ柄の裾除けは別売りになっているようです。
市販の場合、身頃とお腹に巻く部分は木綿で、袖と裾がポリエステルのことが多いのですが、私は絹の袖と襦袢の生地で作った絹の裾除けを持っていて、それを使い分けています。
このように雨ゴートの下は着物の裾をたくし上げます。
今回は洗濯機で洗えるポリエステルの裾です。
袖は絹です。襦袢の袖は着物の袖のふりからちらっと見えます。柔らかものの着物には絹の襦袢の方がよく馴染み、見栄えも良い気がします。
③別の場合も
カジュアル着物
紬の着物のときは軽いポリエステルの袖のほうが動きやすく感じることがあります。
冬
静電気が起こりやすい冬には、裾だけ絹にすることが多いです。
ポリエステルの裾は静電気でまとわりついたりめくれたりしますが、絹の場合ほとんどその心配はなく、防寒の役割もあります。
ポリエステルの雨ゴートの場合
雨ゴートと襦袢の裾が共にポリエステルの場合、絹の着物をたくし上げても上げなくても静電気が起きる可能性があります。
ポリエステル生地に静電気防止スプレーを使うと少し防げるかもしれません。
私はこれを使っています。
↓
△静電気防止スプレー「エレガード」