6月もそろそろ終盤になりました。皆さんは6月の装いをどのようにしていますか?
帯で悩んでしまうこともありますね。今日は6月の着物に合わせる帯について考えます。
1.6月は夏帯
①簡単な決まりごと
先日友人が、「6月から単衣が着られるのは気分も軽くなって嬉しいけれど、帯をすぐに夏物にしていいのか分からない。」と話していました。
たしかに最近は5月から単衣を着ることが多くなり、6月もその延長で徐々に帯を夏物にしていきたい気持ちもあります。
私も6月初旬は夏帯以外を合わせることがありますが、迷ったときは単純に考えれば良いようです。
染織研究家で随筆家の故木村孝さん(1920年~ 2016年)は著書で次のように述べています。
「単衣に合わせる帯で迷うことのないように言っておきましょう。6月から9月中は夏衣の単衣仕立てですから、帯はすべて夏帯を取り合わせます。長襦袢・半衿・帯揚などは絽や紗の夏生地です。(中略)
単衣仕立てのきものの場合は「帯から長襦袢、小物など、皆夏物で取り揃える」と京都の先生方から教えられました。
わかりやすく都合が良いと私は思っています。
きもののしきたりが近年ではわかりにくくなっています。個人的な外出なら難しく言うことは在りませんが…(中略)
近頃何か変わった物、今までと違うことを言うのが新しいと考えるようですが、何につけても若い人を迷わせては気の毒です。」
つまり、6月に入れば、段階的に夏らしく装うというのではなく、1日からキッパリ夏帯にすればよいというわけです。
そして9月の下旬でも、帯は袷用のものではなく夏帯で、「秋の先取り」はしなくて良いと木村さんは同書で述べています。
②夏帯とは
夏帯と一言でいっても種類があります。
絽、紗、羅、麻、などがありますが、私にとって6月に一番締めやすいのは絽塩瀬、麻の九寸染帯で、透け感の強い粗い紗や羅の帯は盛夏の物と思い7月になってから締めるようにしています。
6月に着用
7,8月に着用
③夏帯以外で
夏帯以外でも6月に博多帯、櫛織(くしおり)帯、綴れ、組帯(組紐帯)を私は締めていますが、夏帯よりもしっかりと重いので、気温が高い日は不向きかもしれません。
2.過去の装いから
①6月前半
私の過去の取り合わせを振り返ってみると、6月前半のカジュアル着物には、組帯や紬の帯など、夏帯ではないものを締めていました。
理由は、真夏になる前にいろいろな帯を楽しみたいからです。
夏帯以外で
*この着物と帯についてはこちらで取り上げています。
↓
夏帯
②6月後半
6月後半は夏帯を着用し、着物も少し透ける夏物を着ることがありました。
単衣のきもの
夏のきもの
*竪絽…縦の方向に透き目を織り出した絽織り
*紋紗…平織の部分と透ける紗(からみ織)の部分の組み合わせで地紋ができている生地
3.袷の帯と夏帯を同じ単衣小紋に合わせてみる
同じ単衣の着物に似たような色の帯を合わせてみました。違いは帯の生地が夏用かどうかです。
①袷の着物用の帯で
櫛織りと思われる帯です。
袷用の裏が付いているので透けていません。
帯生地の表面は透け感がありますが、裏地がしっかりしているのでお太鼓はカチッとした印象です。
絽の帯揚に、帯締めは段染めの冠組です。
②夏帯で
絽綴れの帯を合わせました。
絽の絞り帯揚に金糸の入った帯締めを合わせました。
金糸や銀糸入りの帯締めは、細いものなら夏向きとして涼感を演出できるので、私は改まった装いでなくても使うことがあります。
③着用の感想
- 袷用の帯か夏帯かは、前からではよくわからない
- 後ろ姿の印象は、夏帯には軽さと涼感があり全体の姿も涼しげに感じる
- 着てみると、見た目以上に夏帯のほうが軽くて楽だと思った
- 6月上旬の涼しい日や夕方の外出は袷の帯でも良いが、日中暑い中を歩く場合は夏帯で軽快に装うほうがよいと感じた
今日は6月の帯について考えました。
迷うようなら夏帯を、いろいろ楽しみたければ前半は袷用の帯でも良いと思います。お茶会などはそれぞれ社中によって決められた装いがあると思うので、それに従うと良いでしょう。
6月は悩ましくもあり、また楽しむこともできる季節だと思いました。