イベント訪問

初夢コーデで新春の山種美術館「HAPPYな日本美術」へ 【後編】

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前回に続き、新春の山種美術館と着物のお話です。

1.初夢の着物

①そもそも初夢とは

一富士二鷹三茄子

初夢(はつゆめ)とは、新年のある夜に見る夢。この夢の内容で、1年の吉凶を占う風習がある。
字義どおりに新年最初に見る夢ではあるが、「大晦日の夜から元日の朝」「元日の夜から2日朝」「2日夜から3日朝」の3つの説が混在する。

Wikipediaより)

私は初夢は元日の夜見る夢だと思っていましたが、諸説あるのですね。

初夢というと「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」というのは有名で、若者でも知っているようです。

起源は江戸時代のようで、徳川家康が好んだもの<富士山、鷹狩り、初物の茄子>、駿河国で高いもの<富士山、愛鷹山(あしたかやま)、茄子の値段>を並べた、などと諸説あるようです。

宝船の絵

また正月の夢に関連するものとして、私は「宝船の絵」を思い出します。

七福神が乗る宝船の絵に「長き夜の……」で始まる回文(かいぶん)歌*が書かれた紙を枕の下に入れて眠ると良い夢を見られるというものです。

*宝船の回文歌……「長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな」
(なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな)

この回文歌は長唄の舞踊曲にもなっているので、子供の頃からこの歌と宝船に乗る七福神には親しみを感じていました。

宝船の絵の風習は「一富士二鷹……」よりも古く、室町時代からだそうで、昔から人は夢へのこだわりが強かったことが想像できます。

②江戸小紋の初夢文様

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「初夢」というタイトルで、藤の花、鷹の羽、茄子の意匠です。富士山ではなく藤の花というところが優雅で気に入っています。

富士山も藤も高貴なイメージという点が共通しているのかもしれません。

 

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江戸小紋の柄は遠目ではほとんどわかりませんが、近づいて見ると思わず微笑むような洒落っ気にあふれた楽しい文様がたくさんあるようです。

江戸時代の職人たちのセンスと高度な型彫りの技術には驚かされます。

この着物は明るい水色で涼し気なイメージもあり、以前は4~5月頃に着用していましたが、今回お正月に着たのは富士山の帯との取り合わせにしたからです。

 

2.富士山の帯

①横山大観の富士山

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刺繍と輪奈(わな)ビロード*で雪をいただく富士山と雲海を表現した帯です。

*輪奈ビロード…表面が輪奈(ループ)で覆われた、シルクベルベットのことで、和装コートやショールに使われることが多いようです。

 

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△輪奈ビロード
(写真:『テキスタイル用語辞典』成田典子著より)

 

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横山大観*の落款があります。

*横山大観…(1868ー1958)美術家・日本画家 本名は横山秀麿(ひでまろ)

山種美術館に展示されていた横山大観の富士山はこちら

 

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△心神 横山大観 昭和27年 山種美術館所蔵(絵葉書より)

心神とは魂のことで、横山大観にとっての<富士観>を表しているタイトルのようです。

「富士を描くということは、富士にうつる自分の心を描くことだ」と横山大観は言い、生涯で2000点を超える富士山を描いたそうです。
(参考:展示会図録・Wikipedia

 

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年明け初めての美術鑑賞に富士山の帯を着用できて良かったと思います。初夢の江戸小紋も帯を引き立ててくれました。

②帯揚げ

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輪出し(りんだし)絞りの帯揚げはおめでたい気持ちを表すときによく使っています。
輪出しは花などの飛び柄の部分に色が入っていて、その中に細かい絞りが施されたものです。

こちらでも取り上げています。

③藤結びのような帯締め

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丸組の帯締めなので少し華やかに結びました。振り袖などに使う「藤結び」を少し変えたものです。

藤結びは左右の紐を2回ずつからげて結びますが、派手になりすぎるので2度めは一回だけからげて結びました。

上が一回結びなので出来上がりが山の形に見えるかも?…

自己流なので、世間にこんな結び方があるのかは不明です。

 

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△振袖用に結んだ「藤結び」

 

3.久留米絣のコートとCafe 椿

①松の文様の久留米絣のコート

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この日のコートは木綿の久留米絣の道行コートでした。

 

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松、蝶、鳥(鶴?)の文様です。

素朴な木綿の絣には吉祥文様が織り込まれていることが多い*ようで、このコートもおめでたい柄です。

*吉祥文様の絣

 

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△松と梅柄の弓浜絣

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△鶴亀柄の弓浜絣

この久留米絣の道行コートは、洗い張り後反物として保管されていたものをいろいろ悩んだ末にコートにリメイクしてもらいました。

木綿ながら厚地なので暖かく、コートして重宝しています。

リメイクの詳しい経緯はこちらで…

 

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ロビーには加山又造の陶板壁画「千羽鶴」が常設展示されていました。

②お菓子も富士山

山種美術館の1階「Cafe 椿」では展覧会ごとに出品作品に描かれた花や動物などをモチーフにした和菓子をいただくことができます。

青山の老舗菓匠「菊家」のもので、毎回5種類提供されているそうです。

 

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抹茶を選ぶこともできますが、ゆっくりおしゃべりしたいのでポットの緑茶を注文しました。

 

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富士山を食べるのはもったいないけれど……美味しくいただきました!

 

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こちらは女性に人気の「季節のにゅう麺」。友人も同じものを注文していました。

一人で来館し、Cafe 椿でにゅう麺や和菓子セットを楽しむ着物女性を、その日は何人も見かけました。

 

 

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