赤ちゃんが生まれてはじめて迎える誕生日のお祝いを「初誕生」といい、一升餅を背負わせる風習があります。
先日孫が1歳になり、初誕生の祝いを小分け一升餅で現代風に行いましたのでご紹介します。
1.初誕生と一升餅
①初誕生とは
赤ちゃんが生まれてはじめて迎える誕生日のお祝いを「初誕生(はつたんじょう)」といいます。
なぜ「1歳の誕生日」と言わないのでしょうか……。
昔は「数え年」が一般的で、年を取るのはお正月という考え方(生まれた日から1歳と数えます)だったので、誕生日を祝う習慣がありませんでした。
けれども、生まれた赤ちゃんが無事に1年健やかに生きられたことは大変喜ばしいことだったので、「初誕生」だけは特別に行われていたのです。
②一升餅のお祝い
初誕生では、一升餅(誕生餅)と呼ばれる大きな餅を赤ちゃんに背負わせたり、地域によっては餅の上に立たせて踏ませたり、背負わせた赤ちゃんをわざと転ばせる、といった風習があります。
一升(一生)のもち米で作るお餅には「一生食べ物に困らないように」という願いが込められています。
また、餅に象徴される清らかさ、強さが赤ちゃんに与えられるように、という意味もあるようです。
(参考:新谷尚紀監修(2012)『家族で楽しむ子どものお祝いごとと季節の行事』日本文芸社)
③行わない家庭も多い
現代はSNSなどの情報で、どの地域も同じようにこどものお祝い行事をやるようですが、一升餅の祝いはやらない地域や家庭もあり、お宮参りや七五三のような一般的なものではないような気がします。
また、私が知る限りでは、1歳前に歩き始めた子には一升餅を背負わせ、1歳の誕生日が来ても歩かない子はやらない儀式だったように思います。
実際、私も子供たちも歩いたのは1歳過ぎてからなので、一升餅の祝いは経験したことがありませんでした。
今は1歳で歩いても歩かなくても、お餅を背負わせ写真を撮るのが主流で、お餅も小分けタイプで保存が効くものも登場しています。
今回はそのような現代版の一升餅を購入し、個室レストランで家族みんなが楽しむイベントを行いました。
2.初誕生用の餅
①小分けの紅白丸餅
注文後2日で届きました。
一升餅とリュック、選び取りのカードがセットになっています。
紅白それぞれ2個入りのパックが15袋ずつ、合計30袋入っていました。
消費期限は常温で6ヶ月です。
丸餅をすべてリュックに入れました。
お餅一個は30g。合計60個なので重さは1800gになります。重いですが小分けになっているので、背負わせる時に数を減らすこともできそうです。
*「選び取り」とは、初誕生の日にそろばんや筆などを用意して、赤ちゃんに選び取らせて、将来の職業を占う儀式です。
(参考:新谷尚紀監修(2012)『家族で楽しむ子どものお祝いごとと季節の行事』日本文芸社)
本来は実物を用意しますがそれでは大変なので、このように絵に書いたもので代用します。
②実際に背負わせてみた
孫はつかまり立ちしかできないので、1.8kgのリュックを背負わせ、支えて立たせることにしました。
パパが手でリュックを支えているので重さは感じていない様子です。
けれどもパパが手を放したら転んでしまい半べそに…
気を取り直して次は「選び取り」です。
本を選びました。
△選んだカード
カードの裏にはこのような占い結果?が書かれていました。
下のQRコードは、購入者が読み取ると、スマホでAR(拡張現実)のフレームを使って写真を作れるというサービスです。
1歳児はまだお餅を食べることができませんが、孫はパックのお餅を両手に持って満足そうにしていました。
③初誕生祝いの感想
- 大人の食事を進めながら、孫の機嫌の良いタイミングを見計らって一升餅を背負わせる儀式と撮影を行ったので、孫は最後までニコニコ…家族も和やかに過ごすことができました。
- 小分けの餅は昔ながらの一升餅に比べると<代用品>の印象はありますが、家族ごとにその場で分けやすく、賞味期限も長いので、大変便利だと思いました。
甘い小豆と一緒に美味しく食べました。
- 単なるお餅のおまけ? と思っていた選び取りカードですが、けっこう孫は喜んで遊んでいました。本物を並べるより安全で良いのかもしれません。
3.当日の着物
当日は9月23日。パパとママ、両家の祖父母が赤ちゃんを囲むカジュアルなお祝いですので、私と娘は単衣の紬を着用しました。
①ママのきもの
山繭(やままゆ)紬の単衣に黒地紗の綴れ帯を合わせました。(私のお古です)
娘は着付けを習い始め、帯揚げを結ばない飾り方など上手くできるようになっていました。
きものを着たら、外出先でもママは割烹着が必要です。
②祖母(私)のきもの
結城紬に手描きで絵皿模様が施された単衣です。
一升餅のことを考えていたら、丸いお皿模様のこの着物を思い出したので(^^;)
この着物についてはこちらで取り上げています。
帯は祖母、母、私の三代で愛用している絽塩瀬の染帯です。
大海原へ漕ぎ出す帆船と、人生をスタートさせたばかりの孫を重ねて、今後の航海の無事を祈りたくなりました。
この帯についてはこちらで取り上げています。
③孫は甚平で
孫が着ているのは手ぬぐいで作った甚平です。(上衣のみ)
銀座にある、金春(こんぱる)通りのお祭りで頂いた手ぬぐいで、三十数年前に母が息子のために縫ってくれたものです。
当時これを息子に着せて、毎年8月に行われる「能楽金春(こんぱる)祭り」を見物に行きました。
母は毎年着られるように、大きさの違う甚平の上衣を3枚縫ってくれました。
当日孫が着たのは一番大きいサイズですが、他の2枚もお盆行事などで昨年からすでに着用済みです。
そのまま使うと消耗して廃棄されてしまう手ぬぐいですが、このように着られるものに形を変えれば長く保存できて受け継がれるものなのだと思いました。
銀座金春通りのサイト
金春通りのお祭りについての記事はこちらです。
今年(令和4年)はコロナ感染急拡大により、お祭りのメイン「路上奉納能」は中止になったようです。
今日は赤ちゃんの初誕生を取り上げました。
お宮参りやお食い初めなどの祝い事と違い、初誕生の祝いでは赤ちゃんが活発に動けるようになっています。
世話をする大人は大変ですが、初めて赤ちゃん自身が楽しめる素敵なお祝いイベントだと思いました。