長年きもの好きだった人なら、昔着た赤っぽいきものが残っていませんか?
今日は派手になったきものを活用する方法などを取り上げます。
1.古いきものの整理
①昔は赤かピンク
先日、十代から二十代にかけてのカジュアルきものの整理をしました。
昔は若い人が着るのはまず赤系かピンク系のきもので、帯もとりあえずは赤系!でした。
それから大人になるにつれ、少しずつ渋めの朱やピンク、その他の色になり…結婚するとだいぶテイストの違う落ち着いた色も着る(ことができる)ようになるのです。
昭和時代の決まりごとみたいで、今となっては不思議です。
きものがよく売れた時代は、年齢とともに次々と消費者に新しいものを買ってもらおう、という仕組みになっていたのかもしれませんね。
△昭和時代の雑誌に掲載されたミス向けのコーディネイト(主婦の友デラックスシリーズ(1979)『美しい着つけと帯結び』主婦の友社より)
タイトルは「ふだん着の美しい調和」となっていました。
赤系のきものや帯、模様が目立ちますね。
私も本当は緑や青が好きでしたが、赤系の着物や帯にはずいぶんお世話になりました。でも今となってはただ広げて眺めるだけです。
染めの袷のきものなら、まだ娘が着る機会がありますが、派手な紬や夏物はもう着ないまま終わってしまうことでしょう。
②復活できるか?
譲りたくても、派手なきものを着てくれる人を見つけるのは難しいものです。
そうなると、端布として活用する以外は「染め替え」か「目引き染め」ということになります。
ただし、染め替えや目引き染めができない場合もありますし、おこなっても着なければ、無駄になってしまいます。
きものをほどいて処理をして、また仕立てなければならないので、きものや方法によって異なりますが、料金は50,000~80,000円ほどかかるようです。
③そのままにするもの
今回整理したもののうち、復活させない、または出来ないものを挙げてみます。
帯はそもそも染め替えなどが難しいようです。絽綴れは濃い茶色なら目引き染めが可能だと言われました。
いずれも蝶文様の紬の単衣です。柄が大きく可愛らしいので目引き染めしても着ないと思いました。
目引き染めが可能ですが、着用イメージが浮かばないのでそのまま保管することにしました。
少し抑えめな朱色なので、娘が着るかもしれないと、そのままにしておくことにしました。
これらは虫干し後、新しいたとう紙に入れ直しました。
2.染め替えと目引き染め
①リメイクの方法
何度かこのサイトでご紹介していますが、きもののリメイクの方法として、もう一度「染め替え」と「目引き染め」をおさらいしておきます。
染め替え
- きものをほどいて洗い、色と柄すべてを抜いて白生地の状態にします。(真っ白にはならない場合もあります)
- それから色無地にしたり、小紋にします。
- 後染めの「染物」に施します。
目引き染め
- きものをほどいて洗い、上から色を掛ける方法です。
- 派手になったきものの色を抑えて地味にできます。
- 後染めのきものでも柄を残したいときや、紬の場合*はこのやり方でおこないます。
*紬は糸の段階で色を染めているので、色を抜くことが困難です。
②判断基準
呉服屋さんや悉皆屋さんに相談してみることが大切ですが、その前に自分で考えるときの基準として、次のようなことが挙げられます。
染め替えに耐えられる生地か
薄いものや傷みがあるものは、処理の途中で破れてしまったり、色ムラができたりします。
色や柄の将来性
濃い色や可愛らしい大きな柄は色を掛けても地味になりにくいです。
どんな色になったら着てみたいのか
その通りになるかは別として、あらかじめ自分のイメージを持っていると、相談しやすいです。
直したら、何年も着用するか
手間をかけても着なければ意味が無いので、一瞬の思いつきに流されないように、生地や柄などが今後も使えるかどうかを考えます。
愛着
「着心地が良かった」とか、「大好きで思い入れがある」など、そのきものに愛着があるとリメイクも上手くいくことが多いです。
3.もう一度着たい!
今回、目引き染めで復活してほしいと思ったきものは3点ありました。そのうちすでにご紹介している2点について、改めて復活理由を挙げてみます。
①駒絽の小紋
朱色の小紋にグレーを掛けてもらいました。
もう一度着たい理由
- 駒絽の生地にハリがあり、着やすかった
- 模様が好きだった
- 「石摺り」という魅力があった
- 良い思い出があった
詳細は以下の記事をご覧下さい。
②紗の小紋
赤い柄の小紋に深い青色を掛けてもらいました。
もう一度着たい理由
- 生地がしっかりしていてシャリ感も気に入っていたのに、着る機会が少なかった
- 柄よりも素材に魅力があるので、きものよりも着用期間が長いコートにしたいと思った
詳細は下記記事を参照下さい。
③色大島
菊文様の色大島(袷)です。
このきもののリメイクに関しては、日を改めてご紹介します。