11月上旬、箱根では紅葉が始まっていました。
木綿の紫根絞りを着て箱根美術館を訪ねました。
1.箱根美術館
①箱根美術館とは
神奈川県足柄下郡箱根町にある、箱根で最も古い美術館です。
世界救世教の教祖・岡田茂吉(1882-1955)が生前に蒐集した東洋・日本美術のうち、古陶磁器を公開しています。
1952年(昭和27年)6月15日に開館しました。
開館は9時半。11月は無休です。
11月9日(土)10時頃の光景です。
チケットを購入するための列ができていました。(前売り券やウェブチケットがあれば、並ばずに入館できます)
②展示品
- 重要文化財の埴輪、縄文時代の土器
- 平安時代、鎌倉時代、室町時代の甕(かめ)や壺
- 中国15~17世紀の磁器
- 江戸時代の伊万里、鍋島、伊万里古九谷様式などの色絵磁器
などを見ることができました。
△色絵菊文向付 尾形乾山(おがたけんざん)(1663~1743)江戸時代 18世紀
色絵皿を鑑賞するだけでも秋を感じました。
③神仙郷
箱根美術館のある一帯は、世界救世教の聖地「神仙郷」(敷地面積約3万坪)として整備されていて、国の登録記念物となっています。
神仙郷には、「日光殿」「観山亭」「富士見亭」「真和亭」などの建物があり、約130種類の苔と200本のモミジの「苔庭」や「萩の道」「竹庭」などが、四季折々に美しい姿をみせます。
苔庭に面した茶室「真和亭」では、お抹茶と季節ごとに変わる和菓子が楽しめます。
(参考:箱根美術館パンフレット、案内マップ)
2.木綿紫根絞りのきもので
①美しい庭
まだ緑と赤のコントラストを楽しめる時期でした。
富士見亭の隣には「茶室 真和亭」があります。
茶室でお抹茶とお菓子をいただきました。
この日のお菓子は、干し柿の中に栗の餡を詰めたものでした。
写真を撮る前にうっかり一口飲んでしまいました……。
無農薬で栽培された抹茶を使用しているとの説明でした。
背後には青瓦の美術館本館が見えます。
②小物で秋色を添える
色付き始めの紅葉なので、帯揚げや帯締め、バッグで赤を補い、秋らしさを強調しました。
重要文化財の埴輪(後方の「天冠をつけた男子」)や縄文時代の土器の前で
袷の木綿紫根染のきものに結城紬の帯です。
紫根染(しこんぞめ)については、以下の記事を参照してください。
庭園がまだ真っ赤に染まっていなかったので、根付の紅葉も役目を果たせたようです。
根付に関しては以下の記事で取り上げています。
③秋だけでなく
箱根美術館は、秋だけでなく、春夏も大変美しいです。
11月9日に撮影した庭園内のせせらぎ
観光客は少なく、ゆっくり散策できました。
苔庭の緑と紅葉が美しいミニクリアファイル。売店「光琳堂」で購入しました。
3.台風の影響
①箱根登山鉄道、国道など
2019年10月12日、各地に甚大な被害をもたらした台風19号によって、箱根登山鉄道も大きな被害を受けました。
11月6日、箱根登山鉄道の発表によると、箱根湯本-強羅駅間の約20カ所で倒木や土砂崩れなどがあり、うち大平台-小涌谷駅間の4カ所で甚大な被害を確認。
復旧に関しては未定で、おおまかなスケジュールを年内に決めたいということです。
例年なら11月は紅葉狩りの観光客でにぎわい、30万人が山岳区間に乗車するところですが、代行バスでは鉄道の75%しか運べないそうです。
また、箱根町内の国道、県道計9本のうち、2本の一部は通行止めが続いていました。
土砂崩落のため通行止めになっていた、箱根登山バス「小塚入口」バス停付近
この日(11月9日)はまだ県道734号線大涌谷入り口が通行止めでした。
箱根山の噴火警戒レベルは10月はじめに1に下がっていましたが、台風の影響で大涌谷園地再開の協議会が延期されていたそうです。
なお、11月15日に通行止めは解除されました。
②遊覧船・ロープウェイ
芦ノ湖の氾濫で一時は浸水していた遊覧船乗り場やボートの桟橋は現在は復旧し、<遊覧船><海賊船>は運航を再開しています。
そして、箱根ロープウェイも全線で営業を再開しています。
△箱根ロープウェイ(出典:Wikipedia.orgより)
△海賊船「クイーン芦ノ湖」(出典:Wikimedia.orgより)
今日は箱根を取り上げました。
11月末から12月は紅葉も盛りとなり、箱根もさらに賑わうことでしょう。
台風被害からの一日も早い復旧を祈りたいと思います。