生地

藍染芭蕉布を着る

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この夏も芭蕉布に袖を通しました。麻の上布とは違う素朴さが魅力です。

帯の取り合わせなどもご紹介します。

1.芭蕉布とは

①自然布

自然布は木の皮や草の茎の皮から採った繊維で作られた布をさしますが、芭蕉布もその一つで、沖縄の特産品です。

②イトバショウ

材料となる植物はイトバショウです。

イトバショウはバショウ科の多年草。輪層になっている茎を一枚一枚剥いだ皮から繊維を採ります。

バナナもバショウ科バショウ属の大型多年草で、ミバショウ(実芭蕉)とも言います。

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△イトバショウ(芭蕉布 Wikipedia.orgより)

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△バナナ(バナナ Wkipedia.orgより)

③詳しくは……

芭蕉布については、「芭蕉布のきもの」でも取り上げています。

また、芭蕉布作りについては「喜如嘉(きじょか)の芭蕉布保存会」により動画が作られています。

喜如嘉の芭蕉布保存会のビデオ↓

芭蕉布作りはイトバショウの栽培からはじまり、繊維を取り出して糸にするまでの作業がとても大変です。

一反の着尺が織り上がるまで半年かかるそうです。

 

2.藍染の芭蕉布

私は毎年、梅雨頃から9月初め頃までの期間に芭蕉布を着用していますが、今年も帯を替えて着てみました。

①6月下旬 麻の染帯で

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まだ6月なので薄い帯芯入りの麻染帯を合わせています。

 

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薄い水色の絽の長襦袢を着用し、透け感を抑えています。

「薄物」のきものではなく、「単衣」の装いです。

 

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芭蕉布のミニバッグを合わせています。着物や帯が落ち着いた色合いなので、手元だけでも夏らしさを出そうと思いました。(小さいので、出かける時は別に手提げを持ちました。)

②7月初旬 科布の帯で

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7月になると、白い麻の長襦袢を着ています。

 

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白檀の帯留をポイントに置きました。

 

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彫刻家桜井祐一の『葡萄』という作品です。

③7月中旬 紗の帯で

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盛夏用の粗紗の帯を合わせました。

 

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前回ご紹介したシフォンストールの帯揚を試したときです。きものが無地に近いので、どんな小物でも合います。

 

3.芭蕉布の特徴

①ハリがある

芭蕉布は夏の着物ですが、宮古上布や越後上布のような軽さはなく、ハリがあります。糸が太いからだと思われます。

しかし、着てみるとその涼しさがわかります。

生地自体は軽やかではないのに、通気性の良さと肌にまとわりつかないサラッとした肌触りから、軽快に装うことが出来ます。

芭蕉布と越後上布の生地の比較

芭蕉布と越後上布の生地を比べると、糸の太さに違いが見られます。

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△芭蕉布拡大

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△芭蕉布の顕微鏡拡大写真

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△越後上布拡大

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△越後上布の顕微鏡拡大写真

②丈夫で安心感

薄く繊細な上布に対して、芭蕉布はしっかりしているので安心感があります。

とても涼しい木綿のきものを着ているようで、透ける感じもあります。

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△芭蕉布の透け感

③シワになりにくい

麻はシワになりやすいのが弱点ですが、芭蕉布はあまりシワになりません。

着用後、紐や帯の下などでシワが出来たところは、麻と同じように霧吹きで湿らせて吊るしておけば元通りになります。

①②③の特徴をみると、昔の沖縄の人が日常着として愛用していた理由がよくわかります。

 

4.平良敏子展

①白寿記念

6月初旬、銀座かねまつホールで「きもの創り 玉屋」呉服店の展示会が開催されました。

「白寿記念 人間国宝 平良敏子展」です。

戦後の沖縄で消滅の危機にあった芭蕉布を喜如嘉の女性たちと復興した人間国宝の平良敏子さんの作品が展示されていました。

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△平良敏子さんの作品 展示会のDMより

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△平良敏子さんの作品 展示会のDMより

②平良敏子さん

芭蕉布は1400年代にはすでに織られていたそうです。

昔は奄美から与那国島、波照間島までの広い地域で生産されていましたが、現在では大宜味村喜如嘉でのみ作られています。

喜如嘉ではイトバショウの畑作り、糸作りから染織まで、昔と同じ技法と工程で芭蕉布が作られています。

その中心となっているのが平良敏子さんです。

平良さんは1921年生まれで、今年白寿を迎えました。今でも芭蕉布作りに精を出しているそうです。

以下の記事「芭蕉布のきもの」でも、平良敏子さんをご紹介しています。

 

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△苧績み(うーうみ)とよばれる糸をつなぐ作業をする平良敏子さん(『残したい手仕事 日本の染織』片柳草生著 2017年世界文化社 より)

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△平良敏子さんの作品 <三色花織(ミイロハナウイ)絽織芭蕉布>(前掲書より)

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△平良敏子さんの作品 <地機織りの絽の帯地>(前掲書より)

 

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