桜の柄を考える

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今年のお花見はいかがでしたか?

東京は3月23日に開花し、10日後には散り始めました。 花の見頃は本当にあっという間に過ぎてしまいました。 きものの世界における桜は、もう少し長く楽しむことができます。

今日は桜の柄について考えます。

1.開花の期待で楽しませる帯

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花便りが待ち遠しい3月春分の日、友人の帯を撮らせてもらいました。 桜がまだ開花していないこの時、絹の桜を見ると期待に胸が膨らみ、心が浮き立つようです。 一般にこのような枝付きの写実的桜柄は、桜が咲くまでのほんの短い間しか使えない、といわれています。

自然の桜の美しさには所詮かなわないから、桜の下で桜柄を着るのは野暮ったいというのが理由です。 友人もそんな理由から、この帯の出番は年に1回位だと話していました。

 

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しかし、控えめな黒地の着物に添えられた帯の桜、個人的には桜が咲いた後でも4月半ば頃までは多くの人に見せ、楽しませてあげたらよいと思いました。

若草色の帯地の印象が強いので、初夏の緑も連想できるからです。

 

 

2.意匠化された桜柄の羽織

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古い着物を、リメイクで現役復帰!」でご紹介した60年以上前の羽織です。
素材はお召ちりめん*です。
*「紅葉柄の、きものと帯 ~紅葉の柄七撰~」参照

 

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桜の季節に着れば桜に見えますが、意匠化された花なので、私は時期を気にせずに着ています。

 

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この塩瀬の帯、実は竹に雪の刺繍があるのでちょっと時期外れ。

 

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羽織で隠して締めることができました。

 

 

3.桜、ほんの少し……

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これは塩瀬羽二重に刺繍の帯。 戦前のものです。岡崎城?に桜が咲いています。 帯に近寄れば桜がやっと見える程度です。

 

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4月4日、ソメイヨシノは散り、垂れ桜の美しい時に着用しました。

普通の締め方では使用できなかった為、30年以上しまわれたままの帯でしたが、手を加えることで桜の季節にやっと日の目をみました。(詳細は又ご紹介させていただきます。)

 

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きものは大柄の*茶屋辻模様。

*茶屋辻(ちゃやつじ)模様……山水文、草花文、楼閣や風景を描いた図柄。

 

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きもの、帯、帯揚げが偶然にも流水文様になりました。

 

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20代はじめの頃の着物なので袖丈が長く(57cm)、帯と合わせるとすっかりアンティーク調になってしまう為、バッグは洋風の革製にし、水色の色調でまとめました。

 

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足袋(カバー)、草履にも僅かに桜があります。

周りの人は帯の桜や足元にはほとんど気付かないことでしょう。 でも、きものは自分が身に付けることで満足すればそれで完結します♪ この日は桜の装いを自分なりに楽しむことができました。

 

 

4.さいごに

桜は日本を象徴する柄なので一年中着用できると言われていますが、華やかな柄だけに、年齢とともに身に付けることが難しくなるような気がします。

ただ、春に桜柄のきものや帯で装う人を見ると自然と笑みがこぼれ嬉しくなります。 着ることは難しくなっても、女性はいつまでも桜の柄に憧れ続けるのだと思います。

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