今日は晩秋からクリスマスにかけて着たくなる結城紬の付下げをご紹介します。
1.更紗文様の結城紬
①花更紗とアラベスク
地味な印象のきものですが、きものの裾と袖に模様があります。
花と葉が描かれた更紗文様です。
地の模様の名称はわかりませんが、アラベスク文様*とでも言うのでしょうか。
*アラベスク文様
アラベスク(arabesque)は、モスクの壁面装飾に通常見られるイスラム美術の一様式で、幾何学的文様(しばしば植物や動物の形をもととする)を反復して作られている。(Wikipedia.orgより)
△エスファハーンの王のモスク(Wikipedia.orgより)
雪の結晶にも思えますが、形が違うようです。
△雪の結晶(wikipedia.orgより)
②結城紬
この着物は結城紬に染めを施したものです。生地は柔らかくてあたたかです。
このように付下げや訪問着風な柄行きで作られたものでも、手触りや着心地は紬と同じです。
よそ行きをまとっているという感じはせず、動きやすく軽快な感じです。
③裾模様
裾の花更紗は、花には見えない色合いで枯れ草のようです。
2.茶系の帯を合わせて着る
①すくい織の帯で
茶色のすくい織*の帯を合わせました。秋のイメージが強いです。
*すくい織…綴れ織りに似た技法で、多くは紬糸を使って織ります。木製の杼(ひ)という織機用具によこ糸を通して、たて糸をすくいながら織っていきます。
鹿の意匠の洒落袋帯です。
②綴れの帯で
無地に近い綴れの帯です。①より、あらたまった雰囲気が出ているように思います。
総柄のきものでも、無地の帯によって後ろ姿はシンプルな印象です。
帯締めの朱色が明るさを添えています。
3.クリスマスらしく装う
きものはクリスマス柄ではないですが、地模様を雪の結晶に見立てると冬景色のように感じられます。
①ブローチで演出
このようなツリーのブローチを帯留めにしてみました。
※ブローチに関しては以下の記事を参照ください。
クリスマスシーズンの外出に、控えめなアピールです♪
緑の帯周りに目が行きます。
クリスマスシーンには赤が多いので、渋めの取り合わせでも良く映えます。
②平成初頭のクリスマス
平成はじめ頃、息子の幼稚園のクリスマス敬老会に招待された母は、この更紗の結城紬を着ていました。
その頃いつも私はこの着物を見ていましたが、変わった柄とは思いながら、近すぎたせいか雪の結晶のイメージを抱いたことはなく、クリスマスを想像したこともありませんでした。
のちに遺された写真を見て気付きました。母は2で紹介した鹿文様のすくい織の帯をトナカイに見立て、このきものを選んだのでしょう。
きものは自己満足の要素も多分にありますね。母は自分なりにクリスマスの装いをして、いそいそと孫の幼稚園に出かけたのだと思います。
今年のクリスマス、あなたはどんなきものでお出かけしますか?