海外の小物をきものに取り入れるのは楽しみのひとつです。
今日はタイと韓国からのお土産をご紹介します。
1.タイシルクのストール
①タイシルクとは
タイ原産の黄色い繭を使って織られた絹織物。
黄色い繭から作られた糸は太くてキメが荒いですが、それを緯(よこ)糸に使い、経(たて)糸には白い繭から作られた長く滑らかな絹糸を使うことによって独特の光沢とハリのある布ができます。
②サーモンピンクのストール
拡大すると経糸と緯糸の太さの違いがわかります。
③ブルー系ストール
青色の他に別の色糸が使われています。
緯糸は青と赤紫色、経糸はベージュです。
このような糸の組み合わせによって深みのある青紫の生地になっているようです。
2.ストールを帯揚げとして使う
①サーモンピンクのストール
藍の綿薩摩と彩度の低い地色の帯には、赤系の帯揚げが合います。
*吹き寄せ柄…もみじ、銀杏、松葉、椎などが風に吹き寄せられた様子を表す柄
明るいタイシルクによって、暖かみのある秋の取り合わせになったようです。
②ブルー系のストール
カラフルな織帯に
花織風の多色使いの帯は主張が強いので、個性的なタイシルクが合うと思いました。
パッチワークではありません。織り柄も違い、楽しい帯です。
帯に青が入っているので落ち着いたのかもしれません。帯締めは主張しないようにきものと同系色にしました。
紬の更紗帯に
更紗の帯とタイシルクは相性が良いようです。
つや感のない紬のきものと帯ですが、独特の光沢があるタイシルクによって少し華やかになりました。
このストールは厚手なので、帯の中がいっぱいになります。フリンジが出てこないよう注意して帯の中に納めました。
型染めのきものと結城紬の帯に
柄のあるきものにも合わせてみました。
昭和レトロなきものと帯の取り合わせですが、存在感のあるタイシルクの帯揚げで、ほんの少し新鮮味が出たかもしれません。
娘のタイ土産のストールは、これからも和洋両方で活躍しそうです。
3.韓国のかんざし
韓国のかんざしは「ピニョ」と「コチ」の2種類があります。
・ピニョ…チマチョゴリを着た時におだんごの髪を止めるのに使われる長いかんざし
・コチ…ポイントとして使われる短いかんざし
きものに使いやすいのは「コチ」です。
旅行の好きな友人が韓国土産として何回かプレゼントしてくれたかんざしも、短い「コチ」でした。
① 蝶と薔薇のかんざし
韓国らしい蝶のデザイン。淡水パールと薔薇の花がかわいいです。
髪で隠れる部分にまで細工が施してあります。
長さ9.5cm
② 紅水晶のかんざし
紅水晶のピンク色が涼しげです。
長さ9cm
細い針金でビーズのような小さな石を留めて水晶に色を添えています。
③ 木の実のような天然石のかんざし
かんざしの形としては日本的ですが、デザインには異国の味わいがあります。
長さ10.5cm
天然石ならではの落ち着いた色が秋の風情を感じさせます。
4.かんざしを着物で使用
①蝶と薔薇のかんざし
②紅水晶のかんざし
③木の実のような天然石のかんざし
5.私にとっての髪飾り
明治生まれの祖母は「女の人は着物で出かけるときは必ず髪に何か付けるものですよ。そうでないと不祝儀になってしまうから。」とよく言っていたそうです。
祖母にそう言われて育った母はショートヘアのことが多く、普段は何も付けませんでした。けれども祖母の言葉を私によく言いながら絹の和風リボンやかんざしを買ってくれました。
ですから私は10代の頃、お下げ髪できものを着るとき以外はリボン、そして20代からはカジュアルでも後ろにかんざしを挿していました。
それ以来、50代になっても今だに不祝儀以外は何かしら髪に付けないと忘れ物をしたような気持ちになります。
そんな私のことを昔からよく知る友人からの韓国土産は大変嬉しいものでした。
今の時代、既婚女性のきものにかんざしは必要ないようです。きものを着る多くの女性が学ぶ茶道での髪飾りはNGと言われますし、髪飾りといえば若い女性の振袖用か浴衣用の華やかなものがメインだからです。
でも、いくつになっても髪飾りは嬉しいもの。きものを楽しむための重要なアイテムだと私は思っています。
6.日本でも購入可能
タイシルクのストールを帯揚げとして使っている方は多いのではないでしょうか。
アジアンショップでも見かけますし、ネットでも購入可能です。
韓国のかんざしも取り寄せることができるようです。
①シルクストール
- きゃら(Cara) タイシルク ストール 薄手 幅広 大判
- アジアン衣料 タイ・シルクストール
- タイシルクミディアムストール/エカルラート・ホワイト
②かんざし
タイシルクのストールと韓国のかんざしは、カジュアルにはもちろんですが、選び方によってはよそゆきのきものにも十分に合わせられるものだと思います。