渋谷駅からすぐのところに能楽堂があるのをご存知ですか?
先日、セルリアンタワー能楽堂で「渋谷能」が催されました。きものは独特の輝きがある紬、ムガシルクを着用しました。
今回はセルリアンタワー能楽堂を中心にお伝えします。
1.セルリアンタワー能楽堂
①2001年から
セルリアンタワー能楽堂は、2001年に東急(株)の旧本社跡地に建てられた超高層複合ビル「セルリアンタワー」の中にあります。
能・狂言のほか、日本舞踊・邦楽演奏・落語などの伝統芸能、演劇・コンサートなどの公演や発表会などを行う新しい形の能楽堂です。
特定の流儀に属さない能楽堂なので、様々な流儀の公演を楽しめるのも魅力になっています。
(参考:セルリアンタワー能楽堂 劇場案内)
②渋谷駅再開発で便利に
渋谷駅が大きく変わってから初めてセルリアンタワーに行くので少しドキドキしましたが、私が利用する東京メトロ銀座線の渋谷駅からは以前より行きやすくなっていました。
渋谷駅 スクランブルスクエア方面改札口を出ます。
駅通路を少し歩き、ここから2020年9月に利用可能になった新しい歩行者用デッキです。
新しいデッキは地上2階の高さで屋根が付いています。
西口バスターミナルの上を歩きます。
(今までは下の横断歩道を渡ってから再び歩道橋に上がっていたので、少し大変でした)
セルリアンタワーが見えました。
前方右手の歩道橋を降りるだけです。
セルリアンタワー到着です。
能楽堂に向かう前に、ロビー階にあるレストラン「かるめら」で食事をしました。
③セルリアンタワー能楽堂
能楽堂は地下2階にあります。
短いですがおしゃれな空間で、ここを歩くと気持ちが落ち着きます。
セルリアンタワー能楽堂の座席数は約200席と少なく、後ろの席からでも舞台が近く感じられます。
セルリアンタワー能楽堂では2017年から将棋の竜王戦が行われています。鏡板(能舞台の松)を背景に行われる対局は厳かな雰囲気があります。
能楽堂は、公演などの利用がない日は自由に見学ができるようです。(14:30~17:30)
こちらから予定がわかります。
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セルリアンタワー能楽堂 施設カレンダー
2.渋谷能
①渋谷能とは
「渋谷能」は2019年から始まった企画で、30代から40代の次世代を担う若手能楽師にスポットをあて、能楽五流儀の垣根を越えた役者たちが、様々なテーマに沿って能楽を上演するもので、毎回セルリアンタワー能楽堂で行われています。
今年は、喜多流・宝生流・観世流それぞれの公演と、シテ方五流儀と和泉流狂言が揃う千秋楽の全四夜が開催されています。
(渋谷能のサイトより抜粋)
2021年度のテーマは「雪月花」だそうで、自然や四季を美しく表す曲が選ばれています。
△渋谷能のチラシ
「次世代を担う能楽師、劇的に舞う。渋谷に舞う。」
チラシに記されていたキャッチコピーにまず目が行きました。
そして
「国内外から注目され、未来に向けて進化し続ける渋谷に、約650年の歴史を持つ芸能“能楽”の未来を担う若手能楽師が集まり、現代と伝統の世界とを結ぶ――」
という文で始まる渋谷能の解説を読むと、伝統の存続に危機感を抱く若手能楽師たちの強い意気込みが伝わり、その活動に興味がわきました。
②山姥について
私が鑑賞したのは第二夜「山姥」(宝生流)でした。(シテは和久荘太郎師)
2021年のテーマ「雪月花」のうち、月を扱った曲として選ばれた「山姥」は、山に住む鬼女が主役です。
山姥はただ恐ろしいだけの鬼女ではなく、人間の苦悩を語りながら仏の真理を説いたりします。
そして人を助ける優しい一面もあることが謡われ、怖い姿とのギャップを感じて面白いです。
また、能「山姥」では舞台が深山幽谷に見えたり、場面転換がないにもかかわらず春の花、秋の月が次々とイメージできる場面もあり、見どころが多い曲です。
△能 山姥 (『能 修羅と艶の世界』堀上兼 能楽書林より)
③嬉しいお土産
当日は終演後、嬉しいお土産が全員に配られました。
渋谷能の企画に賛同した全国老舗和菓子店の若主人の集まり「本和菓衆」からのプレゼントのお菓子です。
手前の上生菓子には、山姥が持っている白い鹿背杖(かせつえ)が描かれています。
- キャラメル煎餅 まつほ:田中屋せんべい総本家(岐阜)
- 夜更けて:五勝手屋本舗(北海道)
- 鹿背杖:彩雲堂(島根)
山姥の余韻に浸りながら、美味しくいただきました♪
↑渋谷能 第三夜の情報はこちらです。
当日は、「ムガシルク」の無地の着物に辻が花の名古屋帯を締めました。
おとなしいベージュの紬ですが、光の当たり方によっては輝きが感じられるきものです。
次回ご紹介します。