お直し/リメイク

着物のリメイク失敗体験~八掛選び編~

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皆さんは着物のリメイク、していますか? 今日は、着物のリメイクをしたときの失敗談です。

八掛選びを間違えたためにあまり着ることができず、結局つけ直してもらうことになりました。

1.染め替えの着物

①2回目の染め替え

数年前、10代後半から着ている縮緬の無地をリメイクしました。

同じ着物で2回目の染め替えです。

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はじめはオレンジ系の紅花染の一つ紋付きでした。

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退色したため濃い色に染め直しました。(八掛は同系色です)

 

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色が濃すぎて気に入らなかったのであまり着ませんでした。

このまま着ないのはもったいないと思い、リメイクしてもらうことしました。

②色抜き

染め替えをするには、まず色を抜きます。

濃い色に染められたものは元の白生地にはならない場合が多いようです。

また、色抜きや染め直しは生地に負担がかかるので、弱い生地にはできません。

 

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色抜きをしてみると意外に良い色になりました。

そこで地色はこのままにして、模様師さんに柄を描いてもらうことにしました。つまり、正確には染め直しをしたのではなく、色を抜いただけということになります。

 

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柄は私の希望で小さめの「四君子(しくんし)の花の丸」を描いてもらいました。

梅、菊、蘭、竹の四君子は古典柄で、春でも秋でも季節を問わず着用できるからです。

また、小さい柄ならば年齢的にも長く着られると思いました。

③八掛はどうする?

表地は上手く出来上がりましたが、次は八掛です。
私のイメージでは

  • 八掛も色を抜いて染め直す
  • 別の新しい八掛を付ける

でした。

けれども、リメイクをお願いしている悉皆屋(しっかいや)さんが、このままでも面白いのでは?と言うのです。

仕立てを担当している悉皆屋さんのお母さん(80代の超ベテラン)からの提案だそうで、合わせてみて私もなるほど……と思いました。

同系色の八掛を付けるとよそ行き感が強くて気楽に着られません。濃いめの八掛にすることでカジュアルでお洒落な雰囲気が出るはずなので、提案通りにお任せすることにしました。

 

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△外した八掛

 

2.失敗した点

①八掛選びのミス

外した八掛を染め直さずにそのまま付けることで費用面でも安く済んだのですが、着用した後ろ姿の写真を見て、ミスに気付きました。

 

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写真では分かりづらいのですが、よく見ると帯の下、点線から下の色が濃くなっています。

白い胴裏と八掛の境目が見え、八掛の色が表側に透けているのです。

このような状態にならないためには、ぼかしの八掛*を付けるべきでした。

*ぼかしの八掛…小紋、色無地、付け下げなどで表生地の地色が薄い場合、八掛と胴裏の継ぎ目部分が表生地に透けて見えないようにするために使われます。
裾と袖口、衿下部分にだけ色が付けられ、それ以外は白いままの八掛です。

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△ぼかしの八掛の例

今回はなぜぼかしの八掛にしなかったのでしょう!

表地がきれいに出来て安心してしまったことと、母親より年上の仕立て担当の方を今までずっと信頼して何着もおまかせし、上手く仕上がっていたからだと思います。

②昔の八掛は無地

実は、昔の八掛にはぼかしがなく、無地だけでした。

ぼかしの八掛は戦後、昭和30~40年代に普及していったようですが、私の子供時代にはまだ無地の八掛が全盛だったように思います。

その頃は歌舞伎や踊りの会などを見に行くと、前の方の席に歩いていく大人の女性の着物のお尻付近に、時々くっきりと横線が入っていて不思議に思ったことを覚えています。

当時の若い女性は朱などの派手な色の八掛を使ったので、なおさら良く分かりました。けれどもその頃は境目が透けているのを今ほど気にしなかったのです。

「境目があるのは当然」という感覚だったのではないでしょうか。

八掛は表生地を守ることが一番の役割です。

長く着ていると必ずと言っていいほど八掛の裾が切れてきます。

そんなときは着物をほどいて八掛を上下反対に付けたり、胴裏を伸ばして裾の切れたところを縫い込んで使えば、再利用できるのです。

しかし、ぼかしの八掛はそれが出来ない場合が多く、一度きりの贅沢品というわけです。

悉皆屋さんのお母さんは無地の八掛に慣れ親しんできた世代です。染め直しのきものにわざわざ新しいぼかし八掛を付けるという発想がなかったのかもしれません。

③気になるものは着なくなる

さて、出来上がった着物を私は何回か着てみました。

 

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クリスマスのディナーコンサートに着用しました。

ホテル内は照明が暗めなのでほとんど境目は分かりません。

 

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帯を変えて、違う年のクリスマスです。

このように暗めの室内ではあまり目立たないのですが、明るい場所では人に違和感を与えてしまうかも、と気にするようになってしまいました。

きものに少しでも気になる点があると、つい他のものを着るようになり、次第に着たい気持ちが薄らいでいきます。

 

3.八掛を付け替えてもらう

①八掛のやり直し

長年大切に着てきた縮緬のきものを、このまま着ないのはもったいないので、八掛を付け直してもらうことにしました。

八掛の外側は今より薄めの色に、中はできるだけ白っぽくしてもらいました。

 

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△付け替え後

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△袖口

②着てみる

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黒の綸子地に金箔をあしらった名古屋帯を合わせました。

 

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八掛がぼかしになるとおとなしい印象になります。

 

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付け替え前はかなり八掛が目立っていました。

 

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後ろ姿も境目がなくスッキリしました。

これで安心して着られるようになりました。

③八掛は慎重に選ぶ

今回は外した八掛をぼかしに染め直したので、「解き」「色抜き」「ぼかし染め」「仕立て」という作業が必要になり、費用が5万円ほど(税抜)掛かってしまいました。

 

八掛は単衣の着物では味わえない楽しみです。

けれども一度付けたら何年かは替えないものなので、今後は慎重に選びたいと思いました。

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