美術館や博物館見学は、半幅帯の装いが動きやすくて楽です。
2月下旬、上野の東京博物館・表慶館に行く前に、創業明治8年の韻松亭でランチを楽しみました。
1.お召の着物に半幅帯
①緑青(ろくしょう)色のお召
元はピンク色の無地のお召を染め替えたものです。
控えめにフタバアオイの模様を描いてもらいました。
東京国立博物館 表慶館の丸屋根を思い浮かべて選んだ着物です。
緑青の銅板瓦が美しいです。
表慶館の展示についてはこちらで紹介しました。
②ポップなボタン柄の半幅帯
以前(↓)ご紹介したボタン柄の半幅帯を合わせました。
和柄の円文に見えなくもないような……?
小物は同系色でおとなしい感じにまとめました。
③リボン結びは意外にしっかり
今回の結び方はリボン結びから角出し風にしたものです。
△歌舞伎の展示 「紅葉狩」平維茂(たいらのこれもち)の衣裳を見上げる
後ろはお太鼓結びより小さくなりますが軽快な感じです。
この結び方は以前紹介しましたが…
土台はギュッと結んだリボンで緩みにくいです。
↓
余ったリボンの先を結び目の上に掛けます。
↓
お太鼓の中はしっかり結んであるので崩れにくいです。
帯が柔らかいので背もたれに寄りかかっても痛くはありません。
こちらで紹介しています。
2.久留米絣のコート
①木綿のコート
木綿の久留米絣の道行コートを着ました。
絹のコートより扱いが楽で、木綿とはいえ意外に暖かいので気に入っています。
このコートは元は着物で、その後子供の着物に仕立て直され、さらに数年後ほどいて洗い張りされていたものを再びコートに作ってもらいました。
②コートの衿
絣の着物からコートにする場合、当然カジュアルなものになるので、形も着物と同じうちあわせの道中着が普通だと思います。
けれども久留米絣の「うわっぱり」と同じ雰囲気になってしまいそうなので、私はあえて四角い道行衿にしてもらいました。
道行衿は普段ぽい絣でも少しかたい感じになります。
図案→糸くくり→染め→機織りと何ヶ月も掛けて作られた手織りの久留米絣に敬意を表する気持ちもあって、きちんとした感じ*にしたかったのです。
*きちんとした感じ……道行コートは道中着より格が上とされてます。フォーマルの場合は無地染めや絵羽柄の道行コートを着ます。(小紋柄のコートは道行きでもややカジュアルです)
けれども最近のコートは道中着が主流で、フォーマルでも道中着を着る人が多くなりました。
衿の形によるコートの格はなくなってきたのかもしれません。
当日(2/25)、日中はコートがいらないほど暖かく、梅は三~五分咲きでした。
久留米絣についてはこちらでも取り上げています。
3.韻松亭(いんしょうてい)
①韻松亭とは
上野公園内にある和食のお店で創業は明治8年とのこと。
歴史を感じる純和風の建物で、都会の喧騒を忘れさせてくれます。
上野駅から徒歩3~5分のところにあります。(パンフレットより)
JR上野駅の「公園口」は2020年に新しくなりました。
以前は人と車で混雑する横断歩道を渡ってから文化会館や美術館に行きましたが、広々としたロータリーになって上野公園が近くなったように感じます。
「鐘は上野か浅草か」と詠われる寛永寺の鐘楼に隣接することから、当時の博物館館長・町田久成が「松に韻(ひび)く」さまを愛で、韻松亭と名付けたとのことです。かつては横山大観がオーナーだったこともあるそうです。(参考:韻松亭パンフレット)
②個室でランチ
予約はしていませんでしたが、個室に案内してくれました。
「茶つぼ三段弁当」は、茶壺の形の塗のお重に入っています。
生麩や湯葉、寄せ豆腐、だし巻き卵、野菜の煮物などヘルシーで素材を生かした味付けのお弁当でした。
明治時代にタイムスリップしたようなお部屋でお弁当をいただき、気分をしっとり落ち着かせてからの表慶館訪問となりました。