イベント訪問

籠目文様のきもの

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今日は籠目(かごめ)文様のきものをご紹介します。

1.籠目文様とは

①かご

籠目(かごめ)とは、竹などで編んだ籠の網の目、またはその連続した格子状の編組のことです。

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△竹籠の網の目

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△籠目文様の手拭い

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△刺し子の帯(2015.11.15の記事より)

②魔除けとして

籠目文様は星型の模様としてもとらえることができ、「五芒星」「六芒星」といわれる魔除けの印の連続模様と考えられています。

・五芒星(ごぼうせい)…陰陽道で魔除けの呪符として伝えられているもの。陰陽道の基本概念である陰陽五行説、木・火・土・金・水の5つの元素の働きの相克を表したものだそうです。

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△五芒星c

・六芒星…二つの正三角形を逆に重ねた星型六角形「ヘキサグラム」が六芒星で、籠目文様はこの形の連続模様です。
六芒星も陰陽道で魔除けとして使われていますが、ユダヤ教のダビデの星としても有名です。

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△ダビデの星(Wikipedia.orgより)

また、籠という文字は竹と龍に分けられ、籠は龍を封印する神秘的な力があると考えられていました。
江戸時代の武将にも好まれた文様だそうです。

③夏の意匠

蛇籠*の連想から、水辺の風物と取り合わせて意匠化されることが多いようです。

*蛇籠(じゃかご)…竹材や鉄線で編んだ長い籠に砕石を詰め込んだもので、河川の護岸や斜面の補強などに使用される。(Wikipediaより)

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△「籠目文」(長崎巌 監修、弓岡勝美(2005)『明治・大正・昭和に見る きもの文様図鑑』平凡社より)

きものか帯かは不明ですが、絽の生地に青海波や朝顔が描かれています。涼し気な夏の模様です。

④能装束

能装束にも籠目文様はよく使われています。

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△「段替り撫子籬(まがき)文様唐織」国立能楽堂蔵(野村四郎・北村哲郎(2013)『能を彩る 文様の世界』檜書店より)

紅白段+籠目文様の地に撫子を浮き彫りにした唐織はさぞ舞台で映えることでしょう。『熊野(ゆや)』の装束だそうです。

 

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△熊野の舞台に使われている「紅白段籠目花車文様」の唐織 (二十五世 観世左近)(前掲書より)

2.籠目文様の絽のきもの

①浴衣みたい?

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母が3~40代の若い頃に着ていたきものです。

子供の頃の私はこのきものを「白っぽくて浴衣みたい」と思っていたので、大人になっても着てみようとは思いませんでした。

しかし最近畳紙から出してみたら、籠目文様が涼しげでお洒落に見えたのです。

母が着ていた年齢からはだいぶ経ってしまいましたが、この柄なら年齢は問わないような気がしました。

②着てみる

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柄だけみると浴衣のようですが、着ると絹の柔らかさが出て、予想よりもしっとりした雰囲気があります。

 

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また、長襦袢を水色にすると、いくらか白っぽさがやわらぎました。

③昭和の作り帯

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帯は知人のお母様から譲り受けた絽綴れです。作り帯になっていました。

 

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チェコガラスのボタンを帯留めにしています。(2016.10.30の記事参照)
夏には涼しげで重宝しています。

帯の持ち主はちょうど母と同世代なので、きものと帯が現役だった時期は一致します。昭和3~40年代の古い組合せですが、意外に新鮮な装いになりました。

 

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これもシンプルな定番柄の籠目文様だからかもしれません。

 

3.杉並能楽堂に

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7月下旬、友人の仕舞の発表会を鑑賞するために杉並能楽堂に行きました。

この能楽堂は、能楽師、大蔵流狂言方二世山本東次郎則忠が、明治43年、弟子の渡辺勝三郎(銀行頭取)の援助で、本郷弓町(現文京区本郷二丁目)に創建したものです。その後、昭和4年にここ、杉並区和田1丁目に移築再建されました。

舞台は、二世山本東次郎氏が懇意だった彦根井伊家に残る江戸城三の丸の図面をもとに再現されたものだそうです。

鏡板(舞台正面の羽目板)の老松も江戸城の下図どおりに描かれているということです。松の緑の葉には緑青(ろくしょう)*が使われています。

*緑青…孔雀石から作られる顔料の色で明るく鈍い青緑色。

この能楽堂は、狂言大蔵流の四世山本東次郎氏を中心にした狂言会の他、能・狂言を愛好する人々の発表会にも利用されています。

(参考:杉並能楽堂の説明板より)

 

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緑青が使われている鏡板の松には落ち着きと深みがあります。

 

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橋掛かり(写真奥の通路)の傾斜が普通の舞台よりも大きいのに少し驚きました。

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△無事に舞台をつとめた友人と

歴史ある舞台と風情のある建物、杉並能楽堂はとても心地よい空間でした。

 

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