お直し/リメイク

【写真解説】八寸名古屋帯をかがる ~縞の博多帯を作り帯に~

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粋な間道の博多帯を、かがりながら作り帯にしてみました。

1.縞の博多帯

①昭和時代の反物

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家に博多帯の反物が遺されていました。

縞模様のことを「間道(かんどう・かんとう)」といいますが、この帯はカジュアルな感じなので、名物裂由来の「間道」より、ただの縞、ストライプ、というのが相応しいようです。

今までは粋すぎて着るイメージがわかず放置していましたが、外出自粛の中5月になり、急に締めてみたいと思うようになりました。

初夏にふさわしい博多帯を着用し、早く出かけたい! という希望からだったと思います。

けれどもその日がいつ訪れるかはわからないため、のんびり仕立てることにしました。

②短い博多帯

反物の長さをはかったところ、395cmでした。これは博多帯としては短く、現代ではあまり見られないものだと思います。

ふつう、八寸名古屋帯はお太鼓部分を裏側に折り返して二重に仕立てます。お太鼓部分は100cm前後必要ですので、反物にすると4.5~5m位必要になります。

395cmでは、100cm折り返して仕立てると胴回りが足りなくなってしまうのです。

そこで、タレ先部分のみを折り返すか、作り帯にして布の節約をしようと思いました。

実際、昭和時代は博多帯を夏の浴衣にもよく締めていましたが、その中には短いものがありました。

 

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母が若い頃使用していたと思われる博多帯です。タレ部分は端をくけてあるだけでした。

 

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白地でシミが目立っていたため、きれいな部分で二部式作り帯にしました。

 

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浴衣に合わせる博多帯は、あまりたっぷりしていないほうが楽です。

今回の博多帯を体に巻いて試してみたところ、二部式の作り帯にすれば、お太鼓を二重に仕立てられることがわかりました。

長さ確保を優先するため、織り出し線(タレ先を決めるため帯に付いている目印)は考えずに作ることにします。

③作り帯の良い点

作り帯にすると良いことがもう一つあります。

 

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縞柄がない無地の部分もあるので、この帯は胴部分の柄の出し方を表と裏で変えられます。

 

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△ 縞だけの面

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△ 半分は無地の面

作り帯の胴部分はベルトのようにお腹に巻くだけなので、簡単に着物に合う面を出せるのです。

 

2.切ってからかがる

①パーツに分ける

作業しやすいように、まず帯を三分割しました。

手先

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縫い代分入れて47cmです。

胴の長さは、自分のお腹に2回巻いて決めます。縫い代を入れて165cmになりました。

 

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博多帯はカットしやすく、糸くずが出ません。

お太鼓

残りがお太鼓(タレ)になります。

 

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①手先
②胴
③お太鼓

長い帯をかがるのは大変ですが、カットすると作業しやすくなります。

②お太鼓をかがる

折って二重に

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端から100cmのところで折り返して、お太鼓にします。

縫い代分1.5cm折ってかがると二重になるのは82cmです。

待ち針を打つ

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たるみができないようにタレ先から中心に向かってまち針を打ちます。

写真右、折返しの端もまち針で留めます。

しつけをかける

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両側にしつけをかけます。

これでかがる準備ができました。

かがる

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タレ先からかがっていきます。

以前博多帯を仕立てたときは細かくくけましたが*、かなり大変だったので、今回はかがることにします。

*くける……縫い目が表に出ない縫い方。針は折り目の中を通り、表をほんの少しすくいながら進みます。

 

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このように螺旋状に細かくかがります。

☆ポイント

ひと針ずつ糸を軽く引き締めてかがります。

博多帯は目が詰まっていて堅いので、まとめて針を進ませてから糸を引くことは困難です。

単純作業が続きますが、音楽を聞きながら、リズミカルに針を動かすと効率よくできます。(テレビを見ながらは難しいです)

ふつうの博多帯よりかがる部分が短いので、今回は楽にできました。

お太鼓端の始末

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お太鼓の端にもしつけをかけて

 

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くけ縫いで始末しました。

千鳥掛けという方法もありますが、着用すれば見えない部分なので、しっかりとまっていれば大丈夫です。

 

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くけ終わりました。

切断部の始末

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胴と切り離した部分の始末です。

 

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三つ折りにして、簡単なまつり縫いにしました。

③手先をかがる

端を中表に縫う

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手先を中表に合わせてまち針を打ちます。

 

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端から2.5cmのところを並縫いしました。

ひと針縫い残す

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ひと針分縫い残しておきます。(表に返すとき角がきれいに出ます)

 

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しっかりとキセをかけます。(0.4~0.5cmくらい)

キセは、縫い目を見せずにきれいに仕上げるためです。

表に返す

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表に返します。

 

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端の始末ができました。

15cmかがる

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端から15cmくらいまでかがります。

 

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お太鼓と同じようにかがります。(短いのですぐ終わります)

 

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縫い終わりはしっかりと留めます。

ふつうの名古屋帯では「かんぬき止め」をしますが、できないときは2~3回重ねて縫えば大丈夫です。

 

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△かんぬき止め( ほころびやすい所に施すほつれ止め。糸を2、3回渡してから糸をかがります)

 

↑こちらの記事でも帯の仕立てを取り上げています。

 

3.仕上げ

①お太鼓に手先をつける

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タレの裏側、タレ先から約8~9cmのところに手先を縫い付けます。(右でも左でもよい)

この場合、出来上がると、すべて縞柄の手先を左から差し込むことになります。

 

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△タレの表側

今回のお太鼓は固定せず、そのつど作るタイプにしました。

②胴の両端に紐をつける

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胴の端は表裏とも内側に斜めに折ります。

 

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紐を挟んで縫います。

  • 端の折り方や紐の位置は自由です。私はこの形が気に入っています。
  • 紐は何でも良いですが、60~70cmが2本必要です。(ここでは厚手の綿テープを使用)

 

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隠れる部分なので、紐が外れなければ縫い方は適当で大丈夫です。

 

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胴が完成しました。

③出来上がり

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△前部分は縞(段文様)が半分だけ

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△すべて縞(段文様)

という2通りの楽しみ方ができる作り帯が完成しました。

着用例は次回ご紹介します。

 

また、二部式作り帯の製作方法については、別の記事にまとめていますのでご参照下さい。

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