この頃、赤い振袖は結婚式のお呼ばれにはNGと言われているようです。
本当にいけないのかを考えてみたいと思います。
1.赤い振袖はマナー違反?
①どの部分がマナー違反か
- 赤色が目立つ
- 赤は花嫁の衣装とかぶる可能性がある
上記2点がマナー違反と言われることが多いようです。
②なぜそう言われるようになったか
なぜマナー違反といわれるようになったのか、私なりに考えてみました。
振袖が本振袖ばかりになった
1970年代後半から本振袖*が流行し始め、それまで主流だった中振袖はだんだん姿を消していったようです。
皆が袖丈3尺(約114cm)の本振袖を着るようになったので、花嫁が着るきものと同じ長さになりました。
*本振袖と中振袖:本振袖(ほんぶりそで)は大振袖ともいい、袖の長さが110cm以上で、手を下げた時、たもとの先がくるぶしまであるもの。格式の高い未婚女性の第一礼装です。中振袖は袖の長さが100cm前後のもので、たもとの先がふくらはぎ位まであるものです。
花嫁のお色直しの髪型がシンプルになった
以前は、花嫁が日本髪のかつらで振袖を着ることもあったのですが、最近は髪型がシンプルになったため、友人のほうが目立つことを心配し始めたのではないでしょうか。
レンタルの普及で、違う振袖をシーンに合わせて着る人が増えた
これはレンタル業界の策略かもしれません。
卒業袴の定着で、成人式と卒業式は違う着物を着る場合が多く、成人式用に振袖を購入しても、卒業式は小振袖と袴をレンタルする人が多くなっています。
そこで、さらに友人の結婚式にも違う振袖を着てもらうように「赤以外で、おとなしい模様の振袖がベストです」などと言うようになったのではないでしょうか。
③呉服店でも聞いてみた
この”マナー違反説”はネット上だけかと思っていましたが、先日銀座の商業ビルに入っている呉服店で聞いてみたところ、ベテラン風の中年店員さんが、「今はほとんどが本振袖なので、結婚式のお呼ばれに赤の振袖は避けたほうがいいです。」ときっぱり言っていたので驚きました。
ということは、成人式に親から作ってもらった振袖が赤い場合は、あまり着る機会がないということになります。
和の稽古事をしている人は別として、振袖を着る機会は親戚や兄弟、友人の結婚披露宴しかないと思います。
2.赤い振袖でもかまわない
私は中振袖はもちろん、本振袖でも赤の振袖を着てかまわないと思います。
①いいと思う理由
振袖は華やかでおめでたいもの
友人が第一礼装である振袖で出席するのは、慶事に華を添えることになり、他の出席者も喜びます。
花嫁とは違う
新婦は、花嫁としての着つけをしますし、たとえシンプルなヘアスタイルでも飾りは華やかですので、赤い振袖の出席者とおなじようにはならないと思います。
白の振袖もNG、という人もいるようですが、それも大丈夫です。白無垢や白地打ち掛けと普通の白地振袖は全く違います。
成人式の振袖は赤が多い
これは5年ほど前の成人の日の写真ですが、やはり赤い振袖が多いようです。
何枚もあるなら良いですが、せっかく誂えた赤い振袖を結婚式のお呼ばれに着ないのはもったいないと思います。
②赤い振袖を着るときの注意点
赤い振袖を着用するのが気になる場合は、以下のことに注意すればよいと思います。
髪型とヘアアクセサリー
盛り髪はやめて、成人式より少し控えめなアップにしましょう。
席で食事をすることを考えると、ふわふわに盛られたり、髪のサイド部分が垂れていたりする髪型はやめたほうがいいです。
ヘアアクセサリーは、よほど大きくてキラキラするものでなければ、成人式の髪飾りも使えると思います。
ただし、アップの仕方はシンプルにし、付ける位置なども工夫次第で全体が落ち着くはずです。
髪はシンプルに、と言っても、飾りなしは寂しいものです。
明治生まれの祖母は「おめでたい席には必ず髪飾りを付けなさいね。付けないのは不祝儀みたいになるから。」と、よく言っていました。
帯揚げなど
帯揚げや帯締めを少し抑えた色にしたり、統一感をもたせると、成人式より落ち着いた感じになります。
同じ帯揚げと帯締めでも、飾り結びにせずシンプルに結ぶだけでも雰囲気は変わります。
安心して着るために
それでもまだ不安でしたら、事前に花嫁さんに衣装の色を聞くか、赤い振袖を着ようと思っていることを伝えておくと安心です。
3.赤い振袖で結婚式へ
先日、娘が赤い振袖で友人の結婚式に参列しました。
洋風のゲストハウスウエディングということで、前もって友人にはきもので行くことを伝えたようです。
①赤い中振袖
中振袖なので袖はふくらはぎあたりまでですが、これで袖が長くても、あまり印象は変わらないと思います。
袋帯ではなく、松葉仕立ての八寸名古屋帯(次項参照)でふくら雀風に結びました。
右側の羽は名古屋帯の手先なので、半幅で作っています。
帯はふくらませずに、帯締め、帯揚げ、髪飾りは紫系に統一しました。
松葉仕立ての名古屋帯
手先だけ約20センチほどとじてあり、あとは開いた状態の名古屋帯のことです。(前幅の幅出しが可能です。)
②髪飾り
これは以前、正月に同じ振袖を着たときの写真です。
つまみ細工のかんざしは、もとはこのように「藤下がり」が垂れていて、正面からよく見えます。
また、動くたびに揺れて華やかです。
このように飾るときは、髪にもボリュームを持たせます。
同じかんざしを挿し方を変えて目立たないように後ろに付けました。
正面からは見えません。
このように、髪飾りも付け方で印象が変わる場合があります。
③娘の感想
赤い振袖で結婚式に出席した娘に感想を聞いてみました。
- 男性の出席者が多かったので、赤い振袖で場を華やかにできて良かった。
- 振袖での参加は他に新郎の妹さんだけだったが、新婦のお祖母様が振袖姿をとても喜んでくださった。
- 外は5℃しかない寒い日だったので、きものは暖かくて良かった。
- 二次会は立っていることが多かったので、パンプスより草履が楽だった。
- 以前の結婚式は黒地の小振袖だったが、着物が目立つことにおいては同じだったので、色は関係ないと思った。
④ちりよけコート
当日の移動はタクシーでしたが、ちりよけコートを着用しました。
帯をコンパクトに結ぶと、コートを着られるので移動も身軽になります。
このコートについては、改めてご紹介したいと思います。