「妊婦でもきものを着てみたい!」という娘の願いから、妊娠後期に母娘お揃いの着物を
着てみました。
1.下着・補正・長襦袢
娘は、洋服だとこのくらいのお腹です。
きものを着るためには快適に下着を付けることが重要です。肌着や襦袢類については、前回もご紹介しましたが、もう一度まとめておきます。
①肌着
ブラジャーは無しで、汗取り肌着(あしべ織肌襦袢)・裾よけと一体型の肌着(きものスリップ)を着ました。
きものスリップの紐は通常なら前で結びますが、長さが足りないので、後ろで結びました。
②補正
まず、胸の間の溝にハンドタオルを入れました。
次に、胸とお腹の段差がかなりあるので、それがなだらかになるように薄いフェイスタオルを当てました。
タオルが落ちないようにするために、ヘチマ補正パット(ウエスト・フロント用)を使用しました。
ヘチマ補正パットはサラッとして使いやすいものですが、現在は紐ではなくベルト付きになっているようです。(妊婦には向かないかもしれません)
紐か伊達締めで軽く押さえればよいと思います。
③長襦袢
絹の長襦袢はやめて、高島ちぢみの長襦袢スリップ(綿とポリエステル)を使用しました。
スリップの紐はこのように前で結ぶ仕様ですが、長さが足りないので回さずに後ろでゆったり止めました。
上から使い古して柔らかくなった伊達締めをふんわり結びました。
2.やっぱり目立つ……?
初めてお腹の大きい妊婦に着付けをしました。
①前から
前からでは驚くほど大きくはありません。
②後ろから
お尻が大きくなっているので、帯が小さく見えます。
③横から
かなり大きいことがわかります。お腹が出ていると手の置き場に困る、と言っていました。
手を横に下げてみました。
④着付けの工夫
腰紐はお腹の上部で結びました
個人差があると思うので、妊婦さんがここなら大丈夫、という場所にゆったりめに腰紐をあてると良いと思います。
着丈はふだんより短めで
裾を踏んで転ばないためですが、腰紐の位置が高いと丈が足りなくて、自然に短くなります。
軽い帯を
今回はカジュアルきものでしたが、たとえよそ行きを着たとしても、帯は軽いものを選ぶと良いと思いました。
作り帯だとお腹周りには優しいと思います。幅出しはせず、半幅帯を締めるような感じで装うのが楽です。
3.母と娘のおそろい着物
①お揃いは恥ずかしい?
今回は外出せず記念撮影だけだったので、親子で同じ模様のきものにしました。私のは母から、娘のは私から、順送りで引き継いだきものです。
母が40代後半に作った着物ですが、街着→旅行着→家着と長年愛用していました。
退色して藍色が薄くなっています。
この頃はまだ退色しておらず、色が鮮やかでした。
目引染めで色をくすませる前の私のきものは、ぱっと明るい朱色でした。
このように購入当初は鮮やかな藍と朱色の色違いの着物でした。私はお揃いで着るのが恥ずかしかったので、母とは別の日に着ていました。
浴衣でのお揃いはアリですが、ふつうの着物では少し抵抗があります。
②絽紬と博多帯
夏用の紬を6月に着るときは夏帯が良いですが、9月は博多帯が合うようです。
私も博多帯にしました。
これらの帯は、作り帯に仕立てたものです。
前柄は白の無地にもなります。
前はすべて縞柄にもなります。
博多帯の作り帯についてはこちらで紹介しています。
二人とも帯の上半分は無地です。お揃いの雰囲気にしました。
着物は二枚とも私のサイズに仕立てているので、同じ寸法です。昔の人は洋服と違い、特にマタニティ用の着物を用意していたわけではなかったのだと思います。
③色は変わっても……
40年の時を経て、二枚の着物は色が少し変わりましたが、これからも現役で活躍しそうです。
娘がこわごわ挑戦したマタニティ着物は、着てみると想像よりずっと楽だったようです。
出産後はのんびり着物を着ることが難しいので、「良い記念になった! 着て良かった!」と喜びました。