前回は戦時中のもんぺや唐桟縞(とうざんじま)のもんぺをご紹介しましたが、今回は着心地を確かめるべく、それらを実際に着用してみました。
1.モンペの着用方法
まず、もんぺをどのように着るかをトルソーを使って説明します。
①前から付ける
きものの裾はそのままで、前から付けていきます。
裾が自然に左右に分かれるように履きます。
ポケットのあるほうが前です。このもんぺは前紐のほうが細くできています。
もんぺ丈によりますが、帯締めの上辺りに紐を当てて後ろに回します。
お太鼓の中で紐を交差させます。
交差させた紐を前に持って来て
横で結びました。
結び目を中に収めました。
②後ろを付ける
後ろの紐を上に持ち上げます。このときにもんぺで着物を包み込むような感じで上げていきます。
後ろから紐を前に回します。
前で結びました。
③紐を整えて出来上がり
蝶結びでもよいのですが、今回は袴のように片方の紐をたたんで…
もう一方の紐で中心を締めながら巻きました。
紐の端を中に収めます。
出来上がりです。
横から見たところ
後ろから見たところ
2.自転車や雨の日に
①木綿やポリエステルのもんぺなら……
木綿やポリエステルのもんぺなら自転車に乗るときに便利だと思います。
また、雨の日、木綿の着物や浴衣など多少濡れても良い着物なら、コートを着ずにもんぺを履くだけでも安心感があります。
現在は、こんな商品が出ているようです。いずれも着物の上から着用できるもんぺです。
もんぺ風きものパンツ(ポリエステル100%)
問い合わせたところ、この商品は着物の裾を帯に挟むなどして、はしょってから着用することをすすめられました。(ややスリムなデザインのため)
袴式本もんぺ(綿100%)
この商品は裾はそのままで着用できます。
②雨や風が強いとき
雨や風が強いときは、雨ゴートの裾がめくれてしまうことが問題です。
以前ご紹介したのは、雨用巻きスカートを使用する方法でした。
↓
このように着物の裾をはしょってから雨用巻きスカートを巻きます。
上から雨ゴートを着ます。
雨用巻きスカート ↑
もう一つの方法は、コートの下にもんぺを着用することです。もんぺ愛用者の友人は小雪の降る寒い日、雨ゴートの下にもんぺを履いていました。
防寒対策にもなり、安心して歩くことができるそうです。
次にトルソーに着せてみます。
③もんぺ+雨ゴートの着方
着物の上前の裾を、帯の前と後ろを包むように持ち上げてクリップで止めます
下前の裾を持ち上げて先ほどのクリップで止め直します。
もんぺを履きます。
雨ゴートを着ます。
完了です。
コートを着るともんぺを履いていることはわかりません。裾をはしょると寒いのですが、もんぺを履くことで冷え対策ができます。
3.3種類のもんぺを実際に着用
前回の記事でご紹介した3種類のもんぺを実際に履いてみました。
①木綿の唐桟もんぺ上下
作務衣(さむえ)風に上衣を下衣の上に出して着ました。
私はこれが自然なスタイルだと思っていましたが、戦時下のモンペ上下の着方を参考にすると…
こうなります。
上からもんぺを履けば、ポケットも使いやすそうです。
②記念写真のもんぺ
前回取り上げた、昭和19年の写真のもんぺを着用してみます。
紐はリボン結びにしました。
お太鼓の上からだと横に厚みが出てしまいます。
本来は貝の口などのコンパクトな結び方が良いのだと思います。
③矢羽根文様のもんぺ
手持ちの上っ張りと合わせてみました。
上衣がお揃いだったら、後ろ姿もスッキリしていたことでしょう。
④もんぺ着用の感想
- モンペを上下で着るとかなり動きやすくなり、いろいろな作業ができそうに思った
- 布をたっぷり使用したゆとりのある仕立てだが、それが履き心地の良さにつながっていると思った
- 帯は半幅などのかんたんなものにしたほうがよいと思った
- 今回の着用は夏だったので、重ね着をした分暑かった
- トイレは脱がないとだめなので、それが不便だと思った