前回は昔ながらの雨ゴートをご紹介しましたが、今日はここ数年人気が出ている最新の雨ゴートをご紹介します。
1.パーテックスとは?
1979年にイギリスで開発された軽量アウトドア用品の素材のことで、高い防水性と透湿性があります。
又、軽くしなやかなことが特長で、この点を生かしてきもの用のレインコートが作られました。
2.製造・販売
京都の友禅染の老舗千總(ちそう)がプロデュースするきもの専門店「總屋(そうや)」が製造・販売しています。
總屋は2009年にゴアテックス(アメリカで開発されたアウトドア用品の素材)でレインコートを作りましたが、昨年からゴアテックスより軽く柔らかなパーテックスに切り替え、改良を加えた上で再度販売を始めています。
東京では銀座三越新館2F「サロン ド きもの」で販売しています。私も大雨の時、危うくコートの下の着物を濡らしそうになった経験があるので、購入することにしました。
3.三越「サロン ド きもの」で試着
レインコートはイージーオーダーで、M(裄1尺8寸)とL(1尺9寸)の2種類です。きものの上から試着をして身丈を合わせ、仕立ててもらいます。色は6色から選びます。
一緒に行った友人が試着しているところ。はじめは丈がかなり長いものを羽織るので、コートというより何か衣装を着せられているような感覚でした。一体どんな雨ゴートができるのでしょうか…ちょっぴり不安です。
4.出来上がり
三週間後出来上がりました。
友人は薄いグリーン(若菜色)を選びました。汚れても洗濯機で洗えるとのことで、薄い色も選ぶことができます。私は藤紫色にしました。
5.フォトレビュー
家に持ち帰り、じっくり見てみました。
きちんとたとう紙に入れてくれましたが、お店の人からは家では常にハンガーにかけておくように言われました。きもののコートとしては意外でしたが、シワになりやすいのと、折り皺から生地が弱ることを防ぐ為のようです。
ちょっと驚きましたが、左右の胸の下にベンチレーション(通気口)があります。スポーツ、アウトドア用品にある機能と同じですね。電車の中などでここを開けて蒸れを解消する為、というお店の人からの説明でした。
背中のメッシュ部分。これも通気口です。
表から見るとこんな感じです。左右のファスナーと背中のメッシュは、パーテックス素材になってからの改良点です。つまり、以前のゴアテックスのレインコートは「蒸れて暑い」という反省点があったのでしょう。
前はスナップと二ヶ所の紐で留めます。
縫い目はこのように処理され、外側から水が入らないようになっています。
衿はヘチマ衿で後ろが立ち上がります。
袖口はスナップ付きです。
このような説明書がついていました。
6.着てみる
天気の良い日だと白っぽく見えますね。
背中のメッシュ部分
通気口
前の打ち合わせ部分
持ち歩く時の袋です。
6.価格
パーテックスのレインコートの価格は、税抜き78,000円です。ちょっと高い感じはありますが、
- 大雨からきものを守る素材である
- イージーオーダーで自分に合わせたサイズである
- 家庭で洗濯できる
などの点を考えると、妥当な価格なのかもしれません。
正絹で雨コートを誂える場合、反物の価格によって変わりますが、10万円位からでしょうか。(現在は雨コート専用の生地はほとんど生産されていないので、着物の生地を撥水加工して作ることになるようです)
又、以前總屋が販売していたゴアテックスのレインコートは98,000円でした。
このパーテックスのレインコートを大雨の日に試すことはまだできていませんが、いずれ機会は来ることでしょう。何だか雨が楽しみになっています♪
参考URL:總屋きものレインコート