前回はわたしが実践している「ちょこっと虫干し」をご紹介しました。
続いて収納と保管に関してのお話です。
虫干しが終わったら…
- 衣裳敷の上にきものを広げる
きものを畳むための敷き紙(衣裳敷)を敷き、その上にきものを広げます - 和紙を挟みながらきものを畳む
刺繍や箔、紋の部分には和紙の薄い紙を挟みながら畳みます - たとう紙に入れる
きものをたとう紙に入れます - 元通りに引き出しに納める
- 防虫剤を入れる
おしまい
では、以上のことを写真を使ってご説明します。
1.衣裳敷の上にきものを広げる
きものは狭い場所でも上下半分ずつ畳むことができます。
身頃の下半分を畳んだら
畳んだ部分を折り返して
上身頃と袖や衿を畳むのです。
しかし、和紙を挟みながらきちんと畳むには……
このように全部広げて畳むことをおすすめします。
2.和紙を挟みながらきものを畳む
実際に振り袖を畳んだ時の様子をご紹介します。
(きものに挟む和紙は、汚れがないかチェックしたあと干しておいたものを再利用しています)
下前部分です。絞りがあるので全体に和紙を当ててから折りたたみます。
金箔の部分は必ず当てます。
身頃を衿下から二つに折る時は専用のクッションを当てます。
(クッションを当てても多少シワにはなりますが、生地への負担が軽くなります)
畳むにしたがってきものの姿は隠れていきますね。
以上は振り袖に和紙を挟みながら畳む様子でした。
頻繁に着るものではないので過剰なまでに包んでいました。
では出番の多い紬のきものの場合はどうしましょうか……
たとう紙内側に大きめの和紙1枚と、
左右端に京花紙のような小さめの和紙が当てられているだけです。
これならすぐ出せますね。
[和紙について]
今ご紹介したものは母のやり方をそのまま引き継いだものです。
留め袖や振り袖、刺繍や箔が施されているきものは和紙の枚数が多く、実際に和紙に包まれていたきものの方がふんわりしていて状態が良いのが実感できました。
わかりにくいですが、色留め袖に使われていた和紙とクッション。
*全体を包むために特大和紙(106×78cm)1枚
*大きい和紙(70×78cm)8枚
*小さい和紙(24×33cm)12枚
が使われていました。
[和紙は今後入手できるか不安]
「和紙は、きものから湿気を吸収し、
きものを守ってくれる」と私は教わってきましたが、
現在では和紙は高価になり、入手も難しくなりました。
和紙をきものに挟みながら畳む方法は現代にはそぐわないのかもしれません。
かといって洋紙ではかえって湿気を帯びてきものに悪影響を与えかねません。
和紙が手元にあるうちは利用し、
その後は木綿の白い布(新モスを洗って糊を取ったものなど)を併用していくつもりです。
3.たとう紙に入れる
たとう紙を閉じるところ。
もう何が入っているかわからない状態です。
この場合、たとう紙の上側にきものの名称を書いておくことが必須ですね。
私は名称の他に、きものによって違う袖丈も記しています。
全部同じにしている方は必要ありませんね。
昔は年齢・きものの格によって長さを変えていたので、長襦袢もそれに合わせていたのです。
4.元通りに引き出しに納める
きものを引き出しに入れたところです。
入れ過ぎないように、きもの一枚分は余裕を持たせます。
防虫剤を置きました。
ここではホコリよけの為、一番上に布をかけています。
5.防虫剤を入れる
きもの専用の防虫防湿剤があります。
けれども、すべての引き出しに使用するにはコストがかかります。
そこで私はこれを使っています。
これは防カビの効果もあるということで、
引き出し16段分(32個入り)800円くらいです。
取り替え時がはっきりわかるので使いやすいです。
最後に保管に関して提案が2つあります。
☆提案その1
お天気の良い日、湿度が低い日はとにかく箪笥を開けましょう!
すべての引き出しを少しずつ開けておきます。
2~3時間経ったら閉めます。
これだけでも効果があります。
でも……
一番効果的なのはきものを着ることです。
☆提案その2
たとう紙の中の白い厚紙に注意!
たとう紙の中に白い厚紙が入っていることがあります。
これは外したほうがよいです!
この厚紙があると、たとう紙は補強され、
箪笥から出し入れしやすいのですが、
きものの保管には適さないようです。
数年そのままだったたとう紙から剥がした厚紙。
表側はきれいなのに、裏に茶色いシミがみえます。
そしてこれと一緒に入っていたきものは湿気を帯びていました。
みなさんも注意して下さい。
ただしこの厚紙、
頻繁に着るきものでしたらかえって丈夫で出し入れしやすいので、
剥がす必要はないと思います。
長くなってしまいました。
読んで下さりありがとうございます。