イベント訪問

唐子文様の帯でみかわち焼きの展示会へ

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今日は三川内(みかわち)焼きをご紹介します。

みかわち焼きは唐子(からこ)の染め付けで有名なやきものなので、前回ご紹介した唐子文様の帯で出かけました。

1.みかわち焼きとは

①三川内焼

長崎県佐世保市の三川内(みかわち)地区でつくられている磁器のやきものです。

平戸藩の藩釜(御用窯)だったので、平戸焼ともいわれています。

焼成すると藍色に変わる呉須(ごす)を用いた染付が特徴です。

染付による唐子絵をはじめ、細工、透かし彫りといった精緻な技術を駆使して作られています。

②歴史

三川内焼は16世紀末、当時の平戸藩主松浦鎮信( まつら しげのぶ)が朝鮮の役の時平戸に連れ帰った陶工たちに焼き物を作らせたのが始まりとされています。

朝鮮陶工の一人、高麗媼(こうらいばば)は、唐津(佐賀県)の中里茂右衛門(なかざともえもん)と結婚し、1622年に三川内に移って窯を開きました。

この窯は後に平戸藩の御用窯となりました。

(参考:展示会パンフレット・平戸松山窯製品のしおり)

三川内地区には複数の窯場があり、それぞれ個性的な磁器を製作していますが、今回の展示会では平戸松山窯(ひらどしょうざんがま)のやきものを見ることができました。

 

2.柿傳ギャラリーで親子三代の作品展

①「平戸松山窯 三代展 中里勝歳・中里月度務・中里彰志」

東京新宿の柿傳ギャラリー*では、みかわち焼き平戸松山窯(しょうざんがま)で活躍する作家三代の作品が展示・販売されました。(会期:2022年12月20日~26日)

 

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柿傳ギャラリーは外から展示品を少しだけ見ることができます。

*柿傳ギャラリーについてはこちらで紹介しています。

 

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△展示会パンフレット

今回は、中里勝歳(なかざと かつとし)さん、月度務(つとむ)さん、彰志(あきし)さん という祖父、父、息子三代のやきもの展ということで、想像しただけでも心が温かくなり、興味がわいてきました。

②作品紹介

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会場に入ってすぐ目に留まる場所の展示はプロローグのようです。

 

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小さめの台に、三人の作品が寄り添うように置かれていました。

十五代平戸松山の中里勝歳(かつとし)さん

昭和17年生まれ
昭和46年 天皇陛下献上品の依頼を受け平戸唐子図花瓶を制作納入
昭和59年 伝統工芸士の認定を受ける
平成9年 佐世保市無形文化財に認定
平成30年 長崎県無形文化財に認定
(展示パネルより抜粋)

<勝歳(かつとし)さんの作品>

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みかわち焼きを代表する唐子絵は勝歳さんが得意とするものです。

七人の唐子絵は殿様だけのものとされ「献上唐子(けんじょうからこ)」というそうです。

当日は中里彰志さんが説明をしてくださいました。勝歳さんは、孫の彰志さんからみると「厳格なおじいちゃん」だそうです。

彰志さんは幼少期から作業場でお手伝いをして過ごしていたので、仕事に厳しい祖父の姿を間近に見てきたのでしょう。

中里月度務(つとむ)さん

昭和42年 中里勝歳の長男として生まれる
昭和63年 有田窯業大学校卒業
平成3年 平戸染付を父に師事
平成25年 伝統工芸士の認定を受ける
(展示パネルより抜粋)

<月度務さんの作品>

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△平戸青海波(ひらどせいがいは)

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古典的な文様をベースに独自性のある意匠で作られています。

 

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これは表面に繊細な文様を彫り入れる陰刻(いんこく)と、染付の組み合わせで作られています。

 

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陰刻することで立体感と輝きが増し、波がキラキラ光っているようです。

 

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人が抱えるのも大変そうな大きな花瓶ですが、精緻な陰刻が施されています。

波が繰り返し寄せる平穏な青海波文ですが、気の遠くなるような細かい作業の繰り返しだということは素人が見てもわかります。

 

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月度務さんは魚釣りが大好きなのだと、息子の彰志さんが教えて下さいました。

彰志さんからみた月度務さんは「繊細」な人だそうで、その性格は作品を見た誰もが納得するはずです。

③唐子文様の帯と

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私の帯の唐子は、実際には御所人形に近いものでしたが…

 

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嬉しそうに踊る子供の様子は、身に付けた私の気持ちを晴れやかにしてくれました。

 

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これは中里月度務さんの作品です。

 

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蝶と戯れる唐子の何と楽しげなこと!

 

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見る人を笑顔にさせます。

 

中里月度務(つとむ)さんの長男彰志(あきし)さんの作品については次回取り上げます。
若手が挑む新しいみかわち焼きをご紹介します。

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