今日は、前回ご紹介した弥生美術館・竹久夢二美術館を訪ねた時(4/2の記事)の着物を2点取り上げます。
1.若草色の紬に絞りの帯
3月上旬に着たきものは、30年以上着ているお気に入りの紬です。
①きものの地色と柄
地色は若草色を少し抑えた色で「草色」に近いです。宝相華(ホウソウゲ)*と蝶の飛び柄小紋です。
*ホウソウゲ…唐草文様の一種で架空の5弁花の植物を組み合わせた空想的な文様
季節を問わない花柄なので秋~春のいつでも着ていますが、地の色と蝶のせいか、3月になると特に着たくなります。写実性がないホウソウゲは、梅や桜の花の下でもあまり邪魔にはならないようです。
昔は朱色の八掛(裾まわし)でしたが、取り替えたことで雰囲気が落ち着き、最近着る回数が増えました。(2015年9月20日の記事参照)
②帯
無地の絞りです。
黄色(帯)と若草色(きもの)で統一感を出して控えめにまとめました。
③小物
帯留は堆朱(ついしゅ)・帯飾りはべっ甲です。きもの・帯・帯締めが同系色なので、黒系の帯留と帯飾りで引き締めました。
2.藍染め結城(ゆうき)紬の訪問着
3月末、桜も見頃になった日に着た紬です。
①きものの地色と柄
藍色の濃淡で深い森の木々を表しているようです。
絵羽模様*なので訪問着といえますが、それほど改まった雰囲気ではありません。藍染めの紬で抽象的な模様だからでしょう。
*絵羽(えば)…模様が着物全体に絵画のように展開されたものです。縫い目で柄が切れないように作られています。
背縫い部分です。柄がつながっています。
藍染めのきものは桜の花と相性が良く、お互いを引き立てるようです。
②帯
ちりめんに刺し子刺繍の帯です。
刺繍を拡大しました。
③小物
桜の地紋の帯揚げとピンクの帯締め。帯飾りは友人手作りの桜色のトンボ玉です。
満開の桜に浮かれる気持ちはこれらの小物に込めました。
3.お花見に欠かせなかった着物
私はこの着物を見ると桜を思い出します。母が京都へのお花見によく着用していたからです。桜が咲いても朝夕冷える京都では、暖かくて柔らかい結城紬とちりめん帯が役立ったのでしょう。
京都のしだれ桜の下で。(今の私と同じ年頃の母・英国の友人と)
お花見には桜を意識した綺麗なきもので出かけるのも楽しいですが、写真を撮る時は花の色を引き立てるものを選ぶと、かえって人物が生き生きと映るようです。