そろそろ汗ばむ季節になりました。 前回予告した「引き抜き帯を作り帯に」は次回お伝えすることにし、今日は暑さ対策グッズをご紹介します。
昔から愛用者が多い「あしべ織り肌着」は昨年取り上げました。→「真夏の着物/浴衣の汗対策は「あしべ織り」で解決!」 周りでも使用する人が増え、私と同じく補正を兼ねて通年着用している人もいます。
今日はあしべ織り肌着以外の夏用グッズをご紹介します。
1.ヘチマの帯板
井登美株式会社製「天然素材 へちま 前板 帯板 14.5cm×45cm 夏向け」
\3,170で購入しました。
①説明
中はヘチマ、外側は木綿製です。 製造元の責任者宮本氏にお話を聞いたところ、祇園の芸妓さんからの依頼で約10年前に誕生したものだそうです。
日本のヘチマを使い、全て国内で製造しています。 当初はベルト付きとベルトなしの2種類を作っていましたが、生産が追い付かない為今年の製品から全てベルト付きになったと教えて下さいました。
単純な形に見えるかもしれませんが、ヘチマをプレスしてからカットしたり接いだり……このような帯板に仕上げるのは手間が掛かり、技術も要するそうです。
年間のヘチマの生産は限られており、特に今年は天候不順で材料確保が厳しい……要望があっても大量生産ができなくて申し訳ない、とのことでした。
②使用した感想
非常に良かったです。 薄くて軽いですが、帯板としての役目はちゃんと果たしてくれました。
通気性が良いので、夏にはぴったり。若い方の浴衣の帯にも活躍しそうです。そして木綿で覆われていることで、巻いた帯が滑らない点が嬉しかったです。
これは以前購入した夏用メッシュ帯板。どちらも快適でなく、帯が滑る感じが気になっていました。
2.ヘチマの補正パッド(腰ぶとん一体型補正具)
井登美株式会社製「へちまパッド 腰ぶとん一体型補整具 ベルト付き」
\3,400でした。
①説明
これも同じ会社のものです。
この製品は2013年から売り出されました。
ヘチマをプレスするところまでは帯板と同じですが、通気性を保ちながら柔らかさと厚みを出すため、木綿のワッフル生地で外側を覆っています。
丁寧に仕上げられている感じがします。 腰廻りとヒップの補正が同時にでき、帯に汗が移るのも防ぐことができるということです。
②使用した感想
あしべ織り肌着と合わせて使用しましたが、肌着の胴回りより下の、あしべ織りが無い部分を補う形でうまく着用できました。このヘチマパッドは重なっても通気性があるので楽ですし、汗を吸収して着物を守る役目も果たしてくれそうです。
難点は薄いことです。
私はこのようなガーゼの手拭いをはさんで使用しました。 夏だから補正も薄くて良いのかもしれませんが、もう少し厚みがほしいと思いました。 ワッフル生地が気に入ったので、通年使用することになるかもしれません。
3.もう一つのヘチマ補正具
「へちま 涼感 補正パット ヒップ用」
\1,980でした。
①説明
これは中がヘチマで外側は麻です。木綿の紐がついています。
約10年前から販売されているようです。
2の補正パッド(下)より短めです。
外側が麻だからか、少し硬く感じ、又2の補正パッドより薄いです。
これは国内で製造されていないようです。
使用方法は2と同じです。
②感想
こちらは購入したばかりでまだ使用していませんが、試しに付けてみたところ、麻のさらっとした感触が特長のようです。縫製は丁寧で、手作りのような長い木綿の紐がついています。ただ、硬いので馴染みはよくありません。
1回洗ってみましたが、硬さは変わりませんでした。麻の素材感と薄さから考えると、浴衣着用時の補正に向いているのかもしれません。どちらかを選ぶなら私は2のワッフル生地パッドです。
4.ヘチマのウェストパッド
「へちま 涼感 補正パット ウエスト・フロント用」
\1,980でした。
追記:Amazonの場合、送料は無料ですが品切れが多いです。楽天市場の場合は、在庫がある事が多いです。
①説明
これは3の補正パッドと同じ素材です。ウェストや胸部分に前から当てて使用します。
②感想
上が4のウエスト用、下が3のヒップ用です。この二枚は合わせて使用することができるとのことでした。試しに付けてみましたが、それぞれの紐が長過ぎて煩わしい気がしました。組み合わせて使うなら、4のウエスト用と2のワッフル生地のパッドが良いと思います。
5.ヘチマの帯枕
これは母からもらった帯枕。市販のヘチマタワシで母が作ったものです。つまりタワシをガーゼでくるんだだけのもの。
かなり薄く潰してあります。形もいびつで小さいですが、気に入っています。30年以上前のものです。
市販のヘチマ帯枕は筒状の物のようです。自分に合う厚みにして使用するのです。
「天然素材 へちま 帯板 ベルト付 帯まくら 綿ガーゼ紐付 夏用 2点セット」
「天然素材 へちま 帯枕 帯まくら 綿ガーゼ紐付」
ヘチマ帯枕は昔から使用されているものです。本当に軽さと涼しさを実感できるので、おすすめです。
6.紗の博多織伊達締め
手持ちの紗の伊達締めを並べてみました。これも昔から作られているものです。
様々な色や織があります。
見た目も涼しげです。
買ったばかりの紗の伊達締めは少し硬くて使いにくいですが、次第に柔らかくなるので、軽さを実感できるようになるはずです。
私にとっては必需品。初夏になるとすぐに使い始めます。少し高価かもしれませんが、あしべ織り肌着と同じように長く愛用できるので、おすすめの暑さ対策グッズとしてご紹介した次第です。
リンク:「紗 博多織 伊達締」Amazon.co.jp
7.さいごに
今日ご紹介した暑さ対策グッズのうち、昔から使われていたものは
5.ヘチマの帯枕
6.紗の伊達締め
の2点のみです。
そもそも「帯板」を一般的に使うようになったのは戦後からです。そして「補正パッド」が作られるようになったのは、「着付け教室」が盛んになってからだと思われます。
洋服の生活に慣れた日本人が考えた着付けグッズは、夏には不向きなものだったというわけですね。
暑さに悩む現代人の為に、苦労してヘチマ商品を開発して下さった方々に感謝したいと思いました。なお、1~4のヘチマ素材の物は限定生産品です。購入するなら早めの方が良いようです。
長くなってしまいました。
読んでいただきありがとうございました。