今日はきもの好きの楽しみが広がる和装ボディをご紹介します。
1.和装ボディとは
きものの着付け練習やディスプレイに使われるトルソー*で、スタンド(足部分)が2本になっています。洋装ボディと違い体型は寸胴にできています。
*トルソー…トルソ(伊: torso)は、人間の頭部・両腕・両脚、すなわち五体を除いた胴体部分のこと。「木の幹」や「胴体」を意味するイタリア語に由来する。トルソーとも言う。(Wikipediaから引用)
今回選んだボディは次のような特徴があります。
- 帯が締めやすいようにお腹部分が軟らかい材質(ウレタン)でできていること
- 畳の上でも扱えるように台は木製であること
- 持ち運びしやすく、場所を取らない腕なしであること
2.届く
注文した「和装ボディ 腕なし 木製台」が届きました。
①開封
ボディですので、箱は結構大きいです。(ウェットティッシュの高さは17cm)
緩衝材を取ると姿を現しました。
上から
ボディ、スタンド、台です。
②細部を見る
安定させるためにパイプ(足)が2本になっています。
ボディを上からかぶせます。
アンダーバストから、20cm下の腰部分までが柔らかくできています。実際の着付けと同じように紐や帯が馴染むような工夫です。
ボディの表面は厚手のタイツに似ています。
なお、この和装ボディの台を含む重量は1.5キロですので、持ち運びは楽です。
3.麻絽のきものを着せてみる
若い頃のお気に入りのきものをボディに着せてみました。
①麻絽のきもの
補正の必要はないので直接麻の長襦袢を着せ、その上にきものを着せました。
今は麻絽は長襦袢にする生地のようですが、これはきものとして作られたものです。薄くて軽いですが透けるので、浴衣としてではなく、半衿を付けた襦袢と一緒に着用していました。
銀座金春祭りで。赤い絽綴れの名古屋帯を合わせています。(20代前半)
夏のお祭りに出かける時。赤い紗の帯を合わせています。(30代後半)
このように30代まではよく着用していました。しかしその後は派手さが気になり、着ることはありませんでした。
②浴衣なら?
涼しくて着心地の良かった麻絽のきものを和装ボディに掛けてみて、できればもう一度着てみたいと思い始めました。
きものとしては派手でも、浴衣として見るならこのように大柄で色が入っていても大丈夫かもしれません。
そこで帯を渋いものにしてみました。
③科布の帯
茶系の科布(しなふ)*の帯を合わせてみました。
*科布…まだぬのとも呼ばれる古布で、科木(シナノキ)の樹皮から繊維をとって織ったものです。
シナノキは、日本各地の山地にはえており高さは10mほどに成長する木で、古くから衣類や袋物などに使われてきましたが、苧麻や木綿の栽培がされ始めると、減少しはじめ現在では山形県などでわずかに生産されています。
△シナノキの中皮(木村孝・監修(2002)『染め織りめぐり』 JTBキャンブックス より)
梅雨が開けた頃、シナノキ(6~8年の木)を伐採して外皮を剥ぎ芯を抜きます。
外皮と芯の間にある中皮が糸になります。
左…糠で精錬した後の状態
奥…撚糸された糸
シナノキからできた科糸は手機によって、切れないよう湿らせながら長い時間をかけ織られます。
ボディに科布の帯を締め、帯揚と帯締めを合わせると、全体が落ち着いた感じになりました。
これなら、実際に着られるかもしれません。
4.和装ボディの利用
和装ボディには以下のような活用法があげられます。
①着付けの練習用
②眺めて楽しむ部屋のディスプレイとして
③立体で取り合わせを考えたいときに
④着用時の姿を想像したいときに
①着付け
自分が着るのと人に着せるのは勝手が違いますね。
私は着付け教室に通ったことがないので和装ボディには無縁でしたが、娘に晴れ着を着せる前日は座布団にタオルを巻いてボディを作り、当日スムーズに行くように練習していました。もっと前にこのボディを購入すれば帯結びの練習が簡単にできてよかったのに…と思っています。
②眺めて楽しむ部屋のディスプレイとして
きものを着せたボディを部屋に置くと、予想以上に雰囲気が明るくなりました。
脱がせるのがもったいなくて翌日も着せたままにし、これを着ていた頃のことを思い出しながらしばらく眺めて楽しみました。
注意点1:シワを付けたくないきものや帯の場合はすぐに脱がせたほうが良いでしょう。
注意点2:部屋の電気が蛍光灯の場合、長時間の放置はきものが退色する危険があるので注意しましょう。 LED照明ならばその心配はないようです(私もきもののために、こちらのシーリングライトに買い換えました……。
③立体で取り合わせを考えたいときに、と
④着用時の姿を想像したいときに
きものと帯などの取り合わせは、多くの場合、畳んだ状態のきものに帯を置いて考えますよね。
例えば以下のように…
これらは着る予定のきものの取り合わせを忘れないように撮影したものですが、計画通りに着てみるとイメージが違い、あわてて小物を変更したこともありました。
きものは首から足元まで同じ布なので、同系色や色を拾う方法で取り合わせていくと、アクセントの無い、全体に間延びした感じの印象になることがあるからです。
その点ボディに着せて合わせれば、着用時の姿がわかり、後ろや横からの自分の姿も客観的に想像できます。
バッグや草履のコーディネートにも役に立ちそうです。
今日は和装ボディをご紹介しました。
和装ボディ 腕なし 木製台
15,550円(送料込)