今日は外出先で、道行コートや雨コートをスムーズに着る方法について、写真と共に手順を一つ一つ追いながらご紹介します。
1.コートの着方なんて……
作法はある?
慣れない着物と帯の着付けがやっと終わり、「さあ、コートを羽織ってお出かけ!」というときに、コートの着方までうるさく言われたら、もういやになりますよね。
「コートは塵除けや防寒のために着るものなので、着方までこだわらなくてもいいはず……」と思うのも無理はありません。
でも、せっかく素敵なきものを着ているのに、マントをひるがえすかの如く豪快に道行きコートを羽織るのはNGです。
ちょっとしたコツを覚えれば、無駄な動きをすることなく楽に着ることができるのですから。
正式な作法というわけではなく、(他に正しい着方があるのかもしれませんが)私が子供の頃に母から教わったことをお伝えしようと思います。
はじめての道行きコート
これは13歳の頃作ってもらった紬の道行きコートです。まだ肩上げをしています。
このコートを着て京都旅行をしたので脱ぎ着をする場面が多く、母から着方を習いました。
はじめは難しくて、とてもぎこちなかったのですが、何回かやるうちにだんだん慣れていきました。
2.道行きコートの着方
手順
①コートの衿を持つ
コートの裏地が外側になるように衿を持ちます。(持つところは肩幅より広めに)
昭和時代のコートは、この様に裏地に派手な柄のものを使用していました。
(人目にふれることを想定したおしゃれということでしょうか……)
両手を合わせるようにして
↓ ↓ ↓
右手に持ちかえます
②後ろで広げる
コートを持った右手を後ろに回し、左手も後ろにして
コートを後ろで広げます
③肩にかける
手の甲を返すようにしながらコートを右肩に掛けます
左肩にも掛けます
④肘から腕を入れる
左手で右側の衿を持ったまま
右肘をコートの袖の中に入れます。
左肘も入れます。(入れる時は手で着物の袖を持ちます)
この時肘を突き出したり、高く上げたりしないように注意すると動作がきれいに見えます。
⑤内紐やスナップ
袖がきちんと収まったか確認したら
衿のスナップを一つ止めます
内側の紐を結びます
残りのスナップも止めたら
出来上がり
コートを着る時は、人にぶつからない場所を選んで、人にはなるべく背を向けるようにして着るのが良いと思います。
3.裾が汚れない雨コートの着方
ワンピースタイプの雨コートの場合、家で着るときは長い裾が床についても気になりませんが、外出先では地面に裾がついて汚れてしまいそうです。
そんな時の着方をご紹介します。
手順
①たたんだ状態で
外出先ではコートは袖だたみ*にしておきます。
※袖だたみ……着物をたたむ場所がない時に臨時にたたむやり方で、立ったままでもできるたたみ方です。(以下の記事で浴衣を袖だたみしていますので、参考にして下さい)
右手で裾を畳んだ状態のまま持ちます。
②コートの衿を持つ
裾を持ったままの右手で右側の衿を、左手で左側の衿を持ちます
コートの衿を左右に開きます
開いた衿と裾をすべて右手で持ちます
裾は小指と薬指で握り、残り3本で衿を持つ感じでしょうか…5本の指をフル活用させて下さい!
③後ろで広げる
右手を後ろに回します
左手も回してコートを迎えます
コートの衿を広げます
④肩にかける
コートを持った右手をそのまま右肩に
左手は左肩に上げます。これでコートは両肩に掛かりました。
⑤裾をはなす
手に持っていた裾をはなします
コートは肩に掛かっているので裾が下に付くことはありません
あとは道行コートと同じです
⑥内紐やスナップ
内紐をしっかり結びます
スナップは道行コートよりも多くついているのできちんと全部とめます
出来上がり
4.裾が汚れない雨コートの脱ぎ方
裾を引きずらない雨コートの脱ぎ方をご紹介します
手順
①コートの裾を持つ
スナップと紐を外します
雨コートの脇縫いあたりを両手で持ちます
両手を少し高めに上げるようにして
後ろでコートを合わせ
右手でまとめて持ちます
②片袖を脱ぐ
左の肩と袖を外します
手の中のコートをそのまま右にずらして…
前に持ってきます
③たたみながら脱ぐ
裾を揃えてたたみながら
右肩を脱ぎます
たたんでいきます
④袖だたみでコンパクトに
両袖が中に入った状態でたたんでいます
脇縫と袖を揃えるようにすると上手にたためます
縦に四つ折りして
横にも折れば
かなりコンパクトになります
少し練習すればすぐに実践できると思いますのでお試し下さい。
繰り返しになりますが、腕の動きはなるべく小さく、人には背を向けてササッと行うようにすると、スマートな印象になると思います。