今日はきものや帯の手入れに欠かせないブラシについてです。
1.きもの用ブラシとは
屋外に出ると着物は土埃や花粉、排気ガスなどにさらされます。それらを払うために着物専用に作られた、少し粗めのブラシです。
昔は手拭いでホコリを払ったり、別珍(綿ビロード)の布を袋にして中にわたを詰めた物で着物をぬぐっていましたが、効率的にホコリを払うことができるブラシが最近は普及してきました。
2.本当にきれいになる?
ブラシでホコリをはらう、とはいっても、本当に効果があるのでしょうか? 少し疑問に思ったので、黒っぽい紙の上でブラシをかけてみました。
7~8回着て、今までブラシをかけたことがない着物で試してみると……
何やらこんなに落ちました。(中央の白い物です。触るとザラザラしています)
これを知らずに今まで着ていたなんて……。 やはりブラシは必ずかける必要がありますね。
さて、乾燥する季節は静電気が起こります。 ブラシでホコリを払う時、着物に静電気がおき、又付いてしまうのではないかと気になっていました。
そこで、このブラシを試してみました。
3.静電気を除去するきものブラシ
着物付属品販売の会社「あづま姿」が販売しているブラシです。5年ほど前から販売を始めたそうです。
①特長
「静電気除去繊維が持つコロナ放電の働きで、きものに帯びた静電気を取り除き、吸い付いていたホコリを取りやすくする」との説明です。
「ブラッシング後も生地の静電気は除去されているので、空気中に漂っているホコリを寄せつけない」とあり、又「静電気除去繊維の機能は、半永久的」と説明されています。
②素材
天然豚毛と静電気除去繊維の混毛
柄はABS樹脂(プラスチック)
中央の色がついている毛が静電気除去繊維です。
③大きさ
長さ21×4.6cm
重さ75g
④価格
1,920円(税・送料含む)でした。
4.使ってみる
以前から使用している平野のブラシ(2014年12月27日の記事参照)と比較しながら使ってみました。
①ブラシとしての使い勝手
平野製:ブラシ部分の長さは16cm
あづま姿製:ブラシ部分の長さ11cm
ということで、一度で広い範囲を払う点では平野のブラシが使いやすいです。
又、静電気除去繊維部分の毛は少し硬いように感じました。
②静電気の起こり方
紙を使って実験してみます。
a. 懐紙を細く切ったものを用意する
b. ハンガーにかけてある着物に紙を当ててみる
この状況では、まだくっつくことはありません。
c. 平野のブラシで軽く4~5回払う
普通にブラッシングをしてみます。
d. もう一度着物に紙を当ててみる
紙はピッタリ吸い付けられてしまいました。
e. 静電気除去ブラシで軽く払う
静電気除去ブラシできものの別の部分を同じように4~5回払いました。
f.紙を当ててみる
紙は付きません。 たしかに静電気除去効果はあるようです。
5.どちらのブラシを選ぶか?
実験で紙が着物に貼り付いたのを見て、如何に静電気がおきているかを実感しました。 乾燥する季節のブラシ掛けはあづま姿のブラシが効果を発揮するようです。
ブラシ自体の質は平野製が上ですが、そのかわり3780円と価格も高いです。 この季節、これから初めてブラシを買う方は、あづま姿のブラシの方が購入しやすいかもしれません。
6.注意点
あづま姿のブラシは前述の通り、静電気除去繊維部分が硬いのが少し気になります。ですから、ブラシをかける時は軽く、1~2回払う感じがよいと思います。
丁寧に掛けるなら平野のブラシで、その後大まかに静電気除去ブラシで払うのもひとつのやり方かもしれません。
私は2種類のブラシを使い分けていくつもりです。