茜地更紗の帯


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今日は赤い更紗の帯を、素朴で渋いきものに合わせた例をご紹介します。

1.木綿・茜の更紗帯

①更紗とは

インド発祥の木綿地の模様染め製品のこと。その影響を受けてアジアやヨーロッパで作られた類似の製品は、産地によってジャワ更紗・ペルシャ更紗・和更紗などと呼ばれています。

日本では前述のようないろいろな更紗があり、更紗の定義は難しいようです。本来更紗は木綿ですが、日本製の更紗には絹地に染めたものも多く存在します。

以下、更紗の写真を紹介しますが、いずれも吉岡幸雄(2014)『更紗―Sarasa,printed and painted textiles (日本の染織)』紫紅社から少し引用します。

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△インド更紗 「茜地草花文様鬼更紗*」17-18C

*鬼更紗(おにさらさ)…やや目の荒い木綿地に模様染めした「インド更紗」のことです。「鬼手更紗」ともいいます。
それに対して絹糸のように細く紡いだ糸で織った綿布の模様染めを、「絹手更紗」といいます。

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△ジャワ更紗 「藍地花鳥文様更紗」(上)・「白地幾何学草花文様更紗」(下)20C

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△ペルシャ更紗 「茜霜降地草花文様祈祷更紗」18-19C

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△和更紗(京・堺更紗) 「白地菊手鞠文様更紗」(上)・「藍地唐花文様更紗」(下)18-19C

②鬼手更紗の帯

以前ご紹介したものですが、鬼手と思われる更紗の帯があります。

 

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9月はじめ、竪絽(たてろ)のきものに合わせています。

 

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目が粗いのでガーゼのような感じです。

 

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前部分

 

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軽くて締め心地は良いのですが、古い生地なので、作り帯の見えない部分には擦れや小さな穴がいくつもありました。

 

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一見すると古びた木綿の帯。ところが実際に締めてみると、生地や柄、色合いなど深い味わいがあり、魅力的な更紗の帯です。

③銀座こうげいの赤い帯

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こんな赤い帯を、先日実家の押入れから発見しました。「銀座こうげい*」の更紗の作り帯です。木綿のインド更紗だと思われます。

*銀座こうげい…銀座8丁目にあり、1956年頃から白洲正子が約15年間経営していた呉服店。その後は顧問的な立場で関わったという。(1989年閉店)

 

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△「こうげい」の畳紙

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小花模様ですが、花の上に出ている葉?蔓?がちょっと変わっています。私は上下の向きがこのような模様だと思ったのですが…

 

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お太鼓は葉が下に来るこちらの向きで作られていました。

 

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木綿ですが、鬼手のような粗いものではありません。

私は若い頃着用する機会がなく、そのまま時が経っていました。

帯を包んでいた畳紙の内側の白い薄紙が一面赤色に染まっていたので、茜の色が移ったようです。当時、色落ちを心配した母が、しまい込んだままにしてしまったのかもしれません。着用のあとがなく、新品の状態でした。

30年は経過したインド更紗の帯、色は派手ですが、作り帯で締めやすそうなので、挑戦してみたくなりました。もう色落ちの心配もなさそうです。

こんな赤い帯にはどんなきものを着たらよいのでしょうか?

④合わせるきものは?

茜の華やかさを吸収してくれる渋いものか、又は素朴で郷土色の強い民芸的なきものが良いかもしれません。

そこで次のようなきものに締めてみることにしました。

  • 郡上紬
  • 紫根絞り
  • 藍染のきもの

 

2.郡上紬のきものに

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単衣の郡上紬*に合わせました。きものはグレーを基調とした段模様なので、赤色を吸収してくれるようです。

*郡上紬(ぐじょうつむぎ)…岐阜県郡上市八幡(はちまん)町で織られる紬織物。詳細は2016.12.11の記事を御覧ください。

 

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横段に赤も入っているので、茜との馴染みは良いようです。チェコガラスのボタン帯留を合わせました。(2016.10.30の記事参照

 

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郡上紬はさまざまな色目の糸から織られているので、どのような色合いの帯をのせても上手く吸収してくれます。

 

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下駄は縞の鎌倉彫を合わせました。

 

3.紫根絞りのきものに

①盛岡の紫根にインドの茜?

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盛岡・草紫堂*の単衣の木綿紫根絞りに合わせてみました。

*草紫堂…盛岡市紺屋町にある、紫と茜で作られる南部絞りの専門店

紫根絞りと茜絞りを一緒に身につけるのは絞りが重なって難しいですが、紫根絞りと茜の更紗なら大丈夫そうです。

 

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△紫根絞りと茜絞り(テイッシュケース)
http://www.soshido.co.jp/
(紫根絞りと南部絞りについては、2014.9.139.2012.27の記事で取り上げています)

 

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更紗の模様が小花なので主張が強くなく、紫根絞りに馴染んでいるようです。

木綿どうしの組み合わせで、着心地も楽でした。

②小物はシンプルに

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帯締めの紫、帯揚のクリーム色は、それぞれきものと帯の色から取りました。

どちらも総柄なので、小物は控えめに色を拾うだけにしました。

 

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更紗の鼻緒の草履にしました。普段着には巻(高さ)部分が薄い方が軽快な感じです。

 

4.藍染のきものに

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藍染の芭蕉布に合わせてみました。

詳しくは次週お伝えしたいと思います。


この記事に対するコメント

2 Comments on "茜地更紗の帯"

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みやこどり

ほぼ全体的にあかいのに、不思議と派手さを全く感じさせない帯ですね。
郡上紬との合わせ方、とても印象に残ります。

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