先日の薪能。雨には降られませんでしたが、雨用足袋カバーとコートが活躍したのでご紹介します。
1.雨用足袋カバー
①高機能素材ゼラノッツ
以前にもご紹介しましたが、私が愛用している雨用足袋カバーです。写真はパッケージが違いますが、どちらも同じ製品と思われます。
ゼラノッツという高機能素材でできており、透湿性・防水性・撥水性に優れています。
水をかけて実験したところ、かなり撥水性があることがわかりました。
②雨でなくても
購入直後は雨の日だけに着用していたのですが、曇りで雨具を用意して出かけるような日にも念のため履くようになりました。
そのうち、一般的な足袋カバーよりもフィット感があり滑らないため、常時履くようになりました。長時間歩く時なども、これを使用すると足袋が傷まず、又洗濯が楽なのです。
<着用例>
よそゆきの訪問着でも足にフィットしているので違和感はありません。
塗りの下駄でも足裏は滑りません。
③夏も
夏は薄い夏足袋の上に履きました。劇場などの冷房で足が冷えることもなくなり、夕立にあっても安心でした。
夏でも「ムレない」透湿性が履き心地を良くしているのだと思われます。
<夏の着用例>
越後上布のきものに
宮古上布のきものに
絽のきものに。
雨に降られて足袋が濡れ、困った経験から購入したゼラノッツの足袋カバーですが、今ではほとんどの外出に着用するようになりました。
ただし、長年履き続けると撥水効果は下がります。大雨の日用には新しい足袋カバーを用意しておくことをおすすめします。
2.携帯用雨コート
①喪服用に購入
葬儀や法事などで雨の心配がある時に必要と思い、購入した携帯用雨コートです。
色は全6色です。詳細は2016.3.19の記事を御覧ください。
②ウインドブレイカー、防寒用コートとして
雨の心配がなくても、屋外にいる時間が長い場合は携帯すると安心です。軽いので、コートの上から羽織ることもできます。塵除けとしても役立ちます。
夜、屋外で薪能を鑑賞する際に利用しました。寒さ、風、ホコリ、篝火(かがりび)の煤(すす)を避けることができ、きものでも安心して薪能を楽しむことができました。
3.明治神宮薪能
①明るいうちから
2017年10月9日、明治神宮薪能が開催されました。今年で36回目となり、毎年1000人を越す招待客が能や狂言を楽しみます。
開演は6時ですが、3時頃から整理券をもらうために人が集まり始めました。
整理券はあいうえお順。「あ」のグループが先頭です。5時前から整然と列を作りゆっくりと拝殿前に向かいます。
まだ明るい中、参道に灯される篝火。夜の舞台への期待が高まります。
全員が入場し終わる頃には、辺りは薄暗くなっていました。昼間は汗ばむほどだった気温も次第に下がり始めました。
②足袋カバーとコートで
観客の中にはきもの姿も多く、ほとんどの人がショールや薄いコートを着用していました。洋服の人はコートやマフラー、ひざ掛けを用意していたようです。
私も席に着く時に持参した雨コートを着用しました。
座席では撮影が難しいので、これは日中撮ったものです。
雨用足袋カバーはいつものように家を出る時から着用しています。
今年は昨年より暖かな薪能でしたが、それでも夜の風は冷たく感じました。気温がもっと低い場合は袷のコートの上から雨コートを重ねると良いと思いました。足元まで覆えるので安心です。
③薪能の感想
増田正造さん(能楽研究者)のわかりやすい解説のあと、火入れ式が行われ、その後に素謡・狂言・能が上演されました。
・素謡「翁」
当代一といわれる梅若玄祥(うめわか げんしょう)さんの謡は、明治神宮の深い森に隅々まで響き渡るようでした。
・狂言「末廣かり(すえひろがり)」
祝言の代表曲。囃子に合わせて主人と太郎冠者が飛び跳ねながら共に舞い謡うさまを見て、観客は皆ニコニコ顔になりました。
(シテ:野村万作さん)
・能「養老」水波之伝(すいはのでん)
世阿弥作の脇能(わきのう)で、「翁」の次に演じられるおめでたい内容の能です。<水波之伝>という小書(こがき・特殊演出)がつくと、大変な曲になります。
普段は登場しない天女の舞が加わり、シテの舞も非常に早く、さらに激しい緩急があり型も変わります。
シテやツレだけでなく囃子方や地謡など、すべての出演者にとって至難の曲であったと思われますが、それを見事に演じ奉納した能楽師の方々に敬意を表したいです。
夜空の下、明治神宮の自然の中でこの能を鑑賞できたことはとても幸せでした。
(シテ:梅若紀彰さん)
日本で暮らしていて良かった!と思える明治神宮薪能の一夜でした。