今日は二部式きものを取り上げます。
腰紐を結んでおはしょりをする手間を省いたもので、セパレート着物ともいわれるようです。
短時間で着られる便利さがあり、また車椅子生活の人でも着用できる着物です。
1.二部式きものとは
①帯なしと帯あり
二部式着物というと、一般的なのは旅館や和食レストランなどで仕事着として着用されている作務衣タイプのものです。
作務衣タイプは帯をしないので、見た目は着物とは違う感じがします。
それに対して帯をするタイプの二部式着物は見た目は普通の着物とほとんど変わりません。着物が楽に着られるものですが、帯は装着する必要があります。(付け帯だと便利)
②結城紬の単衣
義母が遺した結城紬の二部式きものです。
義母は晩年、杖を使う生活で腰も曲がっていたので、簡単に着られるようにと自分で二部式のきものを作ったり、ふつうのものを二部式に仕立て直したりしていました。
上衣の背中には紐がついています。上衣が短いのは、衣紋を抜かず、少し前傾姿勢の上半身に合わせた丈になっているからです。
腰巻きのようになっていて、付け紐で結びます。
後ろの紐通しは、着用中に裾が落ちないための工夫です。
③着用の仕方
トルソーで試してみました。
先に下衣を腰に巻き
付け紐を結びます。
伊達締めで紐をおさえます。
この部分はおかしいので
内側に折り込みました。
2.着用してみる
①紬の洒落袋帯に
洒落袋(しゃれふくろ)帯を締めました。
イカット柄の紬の帯です。茶色や藍色のカジュアル着物とよく合います。
おはしょりが少し足りないようです。
津軽塗の下駄を合わせました。
②塩瀬花柄の帯に
塩瀬羽二重の染帯にすると少しエレガントな雰囲気になりました。
後ろ姿の印象も変わります。
茶系の着物は老けて(または年相応に)見えますが、都会の雑踏には馴染みやすい色です。
昭和レトロなセンザンコウ(穿山甲)の草履*を合わせました。
*この草履についてはこちらで取り上げています。
③二部式着物の感想
- 今回着用したものは上衣の丈が少し足りなかったが、おはしょりを作らずに着られる点が便利だと思った。
- 体が不自由な人でも着られる着物として、すでに利用されていると聞いたことがあるが、もっと普及すればよいと思う。
- 初心者はおはしょりの始末が難しいといわれているが、二部式ならば安心して着られそう。
まず着物に慣れることから始めて、その後ゆっくりと着付けを学ぶのも一つの方法では? - 上下が分かれているので、私にとっては着たあとに少し直したりする動作が普段と違ってやりにくかった。
3.入手可能な二部式着物
二部式着物は一般に販売されているようです。
また、手持ちの着物をセパレート着物に仕立てることもできるようです。
ポリエステルのセパレート着物(既製品)
手持ちの着物をセパレート着物に
いずれもウエストがゴム仕立てになるようです。
ゴムのほうが付け紐より簡単で、なおかつ裾が下がったりせずに着られそうです。
セパレートにすれば丈が足りない着物でも着られるようになるとのことで、少し興味がわきました。