絽の付下げと白石和紙のバッグ


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白石の和紙でできたハンドバッグを付下げに合わせて持ちました。

ご紹介します。

1.白石(しろいし)和紙と名産品

①白石和紙とその歴史

白石和紙とは、宮城県白石市で作られる和紙のことです。江戸時代から白石の特産品で明治時代まで盛んに作られました。強度と耐久性に優れ、紙子(かみこ)、紙布(しふ)にも用いられました。

その後衰退しましたが、昭和6年に遠藤忠雄が地元の伝統の復興を志して紙工房をはじめました。遠藤は過去の技術の研究や自らの創意によって高品質の紙を作り出し、白石和紙を一人で漉き出すようになりました。

第2次世界大戦中の1943年(昭和18年)宮内省に重要記録用紙用として納入した紙は、2年後に日本が降伏したとき、戦艦ミズーリでの降伏文書に使われたそうです。

1982年(昭和57年)に、白石和紙は、宮城県知事指定伝統的工芸品に指定されました。

1997年(平成9年)遠藤忠雄の死去後は、妻の遠藤まし子らが白石和紙工房で製造を続けました。

2015年(平成27年)3月、白石和紙工房は職人の高齢化などを理由に白石和紙の製造を終了しました。現在は白石市や市内の市民グループが、白石和紙の製造とカジノキをはじめとする原料植物栽培を続けているそうです。

(参考:Wikipedia

②紙布

細く切った和紙をよって紙糸を作り、それを織った布が紙布(しふ)です。

紙布についてはこちら(2017.5.145.21)で詳しく取り上げましたので御覧ください。

 

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△紙布のきもの

③紙子(紙衣)

和紙で作った衣服のことで、古くから防寒衣料や,寝具に用いられました。はり合わせた和紙をよくもみ,柿渋を塗って仕上げたもので,主に防寒用の胴着や下着に用いられました。

東大寺の修二会(お水取り)では練行衆が14日の行の間、紙子を着用します。蚕を殺さず、女人の手を煩わせずに作れるため、仏教の戒律にかなう法衣(ほうえ)であったからという理由だそうです。

東大寺では1973年(昭和48年)から白石和紙を使って紙子を作っているそうです。

(参考:紙の博物館『紙博だより』第48号(平成23年10月1日発行))

また、紙子といえば、松尾芭蕉が奥の細道の旅に防寒具として持参していたことでも知られています。

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△紙子 歌舞伎の舞台衣裳(紙の博物館の展示より)

「昭和62年 第6回近松座定期公演『傾城仏の原』用に特別に仕立てられ、中村扇雀が着用したもの。原紙は白石和紙(遠藤忠雄抄造)」(展示の説明より)

 

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△紙子の舞台衣裳の前で

紙布のきものに紙子の帯を着用しています。(2017.5.13撮影、2017.5.21の記事参照)

 

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△紙子の帯

これは白石のものではなく、京都・黒谷の和紙です。

 

2.拓本染め和紙のバッグ

①拓本染め

拓本染めとは、胡桃(くるみ)、黄蘗(きはだ)、浜茄子(はまなす)などの天然の染料で薄く染めた和紙を、模様を彫った版木(はんぎ)にたたいて密着させ模様を打ち出したものです。(一部化学染料も使用します)

強度と耐久性に優れた白石和紙だからこそ可能な工程だそうです。

白石の古い紙子模様を活かした拓本染紙は名刺入れやふくさ入れ、ハンドバッグや印鑑入れなどに加工されています。

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△佐藤忠太郎紙子工房の拓本染紙の見本

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△ソバの花の模様

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△花菱の地紋に蘭の模様(地の染料はくるみ)

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△桜の模様(地の染料はハマナス)

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△桐の模様

②ハンドバッグ

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佐藤忠太郎紙子工房に注文して作っていただいた<白石拓本紙子>のハンドバッグです。

 

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花菱の地紋にシルバーが入っており、少しよそゆきっぽい感じです。

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取っ手を中にしまうとクラッチバッグ風になります。
大変軽いです。

 

3.絽の付下げに

①茶と白のイメージ

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7月下旬、駒絽の付下げを着用しました。

地色が気に入り、灯屋2銀座店で購入したものですが、(2015.7.25の記事参照)茶色は夏物としては個性的な色なので、取り合わせるものは淡い色にしました。

 

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白の絽綴れの帯に、帯揚・帯締は薄い水色です。

 

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流水と紅葉や秋草の文様のなかで、ブルー系シルバーの網干(あぼし)文様*がアクセントになっているようです。

*網干文様…魚網を三角錐状(さんかくすいじょう)に干す様子を文様化したものです。

 

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しかし、全体の色の印象は「茶と白」になってしまいました。

 

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以前の取り合わせ。紗の袋帯です。

②和紙のバッグをポイントに

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そこで、きものの網干文様のシルバーと白石和紙のバッグのブルー(薄紫)系を強調しようと思いました。外で撮った写真は色が薄いですが、

 

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室内では薄紫のぼかしがよくわかります。

 

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観世能楽堂入口前にて。茶と白にブルーの色が加わり、全体が引き締まったようです。

白石拓本紙子バッグは、最高級の和紙工芸品にもかかわらず、その軽さのように主張は控えめです。

そして駒絽の付下げと夏の帯によく馴染んで、涼やかな雰囲気を演出してくれました。

 


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