男物の紗の羽織を女物へリメイク


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男物の紗の羽織を女物にリメイクして着てみましたのでご紹介します。

1.古い紗の羽織

①男物の紗の羽織

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20年以上前に亡くなった義父が遺した紗の羽織です。
緑がかった黒で、手触りは柔らかいので女物の羽織としても着やすそうです。

しかし……

 

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かなり着古した感じがあります。

 

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カビかシミのようなものもあります。

②呉服屋(悉皆屋)さんに相談

女物の羽織にリメイクしてもらえるか呉服屋さんに聞いたところ

  • 後ろの目立つ場所に穴がある
  • カビやシミを落とすために洗い張りをすると生地が弱ってしまう
  • 洗い張りで色も落ちるので、染め直さなくてはならない

以上の理由から、「『どんなに手間や加工料がかかっても、どうしてもこれを着たい!』というのでなければ、リメイクはあまりおすすめしません。」とのことでした。

後ろの穴は結構目立つところにあるため、再生は不可能だと私も納得しました。

③洗ってみる

リメイクはできないとしても、布地としては何かに使えるかもしれないので、手洗いしました。

 

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シミは落ちたようです。

 

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きれいになったら穴がさらに目立ちます。

 

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けれども型崩れもなくさっぱりしたので、このまま端切れにしてしまうのが惜しくなりました。そこで失敗を覚悟で自分で直してみることにしました。

 

2.リメイクに挑戦

①穴

まず問題の穴です。

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背縫いから3~4cmのところに穴が2箇所あります。隠すために穴の部分を背縫いに縫い込むことにしました。

幸い男物の羽織は身幅がたっぷりしているので、中心から4cmずつ(合計8cm)縫い込んでも大丈夫そうです。

 

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左があらたに縫った部分。右は元の背縫いです。手抜きリメイクですので元の背縫いはほどきません。

 

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縫い代も上に向かって少なくしていけば衿付けをほどかずにすみます。

 

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縫い代を折り込んで始末します。l

 

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縫い代は少し太く厚くなりますが、薄い生地なのでアイロンで抑えたら何とかなりました。

②身八つ口と振り

男物羽織にはない「身八つ口」と「振り」*を作ります。

*「身八つ口」と「振り」…「身八つ口」は着物の脇に開いた切れ目で,脇の下あたりにあります。「振り」は袖付けから袖下までの開いた部分のことです。

 

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女物の羽織

 

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身八つ口

 

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振り

 

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脇をほどけば女物になりそうです!

 

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肩から約23cmのところ(白い糸印まで)が袖付けになります。そこまでほどきました。

 

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身八つ口は10cm。10cmだけ残して、ほどいた部分は縫い閉じました。

③袖丈

男物の羽織の袖丈は約50cmです。少し長いので3cmほど短くします。

 

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袖を裏返し、丈を詰めます。

 

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内側の縫い目が直した部分です。

 

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上側が直した袖です。

 

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身八つ口と振りが開き、袖丈も短くなりました。

④羽織紐

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黒の羽織なので、羽織紐は朱色のものを選びました。

 

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着られるかどうかわかりませんが、一応女物の羽織の形になりました。

 

3.着てみる

①試しに羽織ってみる

本当に着られるのか少し不安でしたので、一度羽織ってみることにしました。

 

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まだ紗の羽織の時期ではなかったのですが、以前ご紹介した古い縞御召に羽織ってみました。

 

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後ろの穴の修繕はなんとか成功したようです。

 

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義父の羽織に合わせたこの御召のきもの。実は義父の母親のものです。「母のきものに息子の羽織」という不思議な組み合わせになりました。

そして、着てみて直し忘れている箇所に気付きました。

②再度手直し

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  • 袖口が開きすぎている
  • 袖口の擦り切れが目立つ

この2点です。

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袖口の穴は結構目立ちます。

 

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袖口を表裏それぞれ5,6ミリずつ中に折り込んでくけ直し、袖口の開きも5センチ縫い止め22センチに仕上げました。

③明るめのきものに羽織る

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グリーン系紬の小紋に羽織りました。この取り合わせにすると、羽織りの色が緑がかった黒だということがわかります。

 

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明治、大正時代の長羽織の丈です。

 

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開きすぎていた袖口と擦り切れ部分は目立たなくなりました。

 

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きものの唐花模様が透けて見えます。

 

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羽織りと対照的な明るめのきものだと、<帯揚げ+帯+羽織紐+帯締め>の組み合わせが良く映えるようです。

透け感のある紗といえども黒の印象が強いので、きものは明るい色のほうが良いようです。

④茜のきものに羽織る

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南部しぼり茜染めのきもの(単衣)に合わせてみました。約40年着ている茜染めですが、明るい色なので近頃は着るのに勇気が必要です。

 

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羽織を着ると

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落ち着きます

 

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白い帯は

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透けて涼しげに見えます。

 

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帯留は友人の手作りで、タイガーアイ、カットメノウ、水晶の組み合わせです。絹の羽織紐から天然石の羽織紐に変えると、明るく軽快な雰囲気になるようです。

帯揚げはタイシルクのスカーフです。

 

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柄物の正方形のスカーフですが、端の無地部分が出るように使います。

 

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対角線に向かって折り、帯枕を包みます。スカーフがずれないようにゴムで留めました。

 

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袖が振りから出ないように糸を掛けています。

 

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長羽織には下駄が合うようです。この下駄も、欠けて履けなくなったものを補修しました。(2016年1月31日の記事参照

諦めかけた紗の羽織ですが、どうやら気楽な塵除けとして利用できそうです。

桜の季節が過ぎたら着用したいと思います。

 

 


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