時代裂を鑑賞する・その2


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前回は時代裂研究家の鈴木一弘氏の個展をご紹介しました。

今日は手元にある復原された時代裂の製品や懐かしい写真をご紹介します。

1.懐かしい写真

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▲2001年、京都市中京区にある鈴木時代裂研究所にて(左から両親・鈴木一氏・鈴木一弘氏)

両親は鈴木さん親子を大変尊敬し、お付き合いさせて頂いていました。

 

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▲2003年、京王百貨店鈴木一氏の展示会にて(鈴木御夫妻と私)

鈴木一氏は大変紳士的で、いつも優しくにこやかに接して下さる方でした。ご苦労の末に復原なさった名物裂のことを丁寧に説明して下さった鈴木氏。その穏やかな横顔は今でも忘れられません。

 

2.時代裂の製品

以下は両親から受け継いだ物も含め、私が大切にしている時代裂作品です。

①「格天井更紗(ごうてんじょうさらさ)」の小帛紗(こぶくさ)・木綿製

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伊藤博文公が所持していた帛紗が元になっているそうで、年代、生産地は不明・木綿製。

何てモダンな柄なのでしょう! 母は数ある中からこの文様を気に入って購入したようです。

②「笹蔓手金更紗(ささづるできんさらさ)」のバッグ・木綿製

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古渡(こわたり)インド更紗―17世紀初頭から18世紀半ばまでのインド更紗のこと―です。古くから各時代にわたって渡来してきたもので、端正で可愛らしい文様です。

③「鶏頭手金更紗(けいとうできんさらさ)」のバッグ・木綿製

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インドの草花文様で、ケイトウの花に似ているところから名付けられたそうです。父が選んで買ってくれた大切なものです。

④「ウンヤ手格天井更紗」のバッグ・木綿製

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これも古渡インド更紗です。個性的で奥深い味わいがあります。

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丸の中に兎が描かれています。兎のまわりのヒラヒラ(にょろにょろ?)した模様がウンヤ手の特徴だそうです。

⑤「格天井更紗」のネクタイ・絹製

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更紗は本来は綿ですが、ネクタイなので特別に絹で製作したそうです。

⑥「笹蔓手金更紗」のネクタイ・絹製

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⑦「花籠立華文風通(はなかごりっかもんふうつう)」のネクタイ・絹製

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ヨーロッパの文様ですが、中国で明時代の末頃に織られたものらしいです。風通とは二重織の一種で小さな袋状の模様が現れる織物のこと。このネクタイは無地の部分が袋状になっていて生地が少しふくれています。

鈴木時代裂研究所
http://sjk-kyoto.com/

 

3.「名物裂事典」

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これは2007年に出版された事典です。鈴木一氏が半世紀に亘り染織品の収集と研究、復原に力を注いだ集大成で、写真約5000枚・文字数約110万字がCD-ROMに収められ、パソコンで見ることができます。

鈴木氏は70歳でこの事典作りに着手しました。国内の名物裂を網羅すべく博物館・美術館・寺院などが所蔵する裂を調査し古文書も調べ上げ、科学的調査も行った鈴木氏。そのご苦労がよくわかる事典です。

平成19年、鈴木氏82歳の5月に完成しました。それから二年後の平成21年11月に鈴木一氏は逝去されました。

昔の時代裂の写真が満載のこの事典。パソコンで見始めると時が経つのを忘れてしまいます。

 

4.感想

時代裂の製品を幸いにも以前から身近に使う機会がありましたが、不思議なことに年齢を重ねるにつれ、その魅力を強く感じるようになりました。

400年前の日本人を魅了した時代裂は、現代の私たちにも新しい感動を与えてくれる憧れの裂です。


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